「メインフレームを単純更新するのは今回限り」。日本で唯一、全国を一元管理して鉄道貨物輸送を行っている日本貨物鉄道株式会社、通称JR貨物で経営陣がそう決断したのは平成24年1月のことだ。同社の情報システム部は、次の更新時期の平成29年までに新たな対応策を経営陣に提案することが求められた。

 対象となったシステムは、鉄道コンテナ輸送の総合管理システム「FRENS(フレンズ)」。複雑化する鉄道コンテナ輸送に対応すべく、平成6年1月に自社開発したものだ。FRENSは、旅客の特急列車の座席管理と同様にコンテナ列車の輸送力を管理しており、基本機能は完成されているため、プログラム改修による機能増強を図ってきたものの、国産メインフレーム上に構築されて以来、数度にわたってメインフレームによる更新を行ってきた。

 また、平成17年8月にはインターネット経由でコンテナの運送予約ができるとともに、駅構内のコンテナの位置を把握できる「IT-FRENS & TRACE」をPCサーバー上に構築。「FRENS」の機能を最大限活用し、総計9万個に上るコンテナを効率的に運用してきた。

 しかし、課題もあった。データベース処理性能の拡張性と保守運用性だ。次期システムでは現状の約2倍の処理性能が必要になると想定されていた。この性能をメインフレームで実現しようとすれば、費用は高額になる。経営陣が最も気にかけたのもこの点だ。

 また、データベースが旧来のネットワーク・データベースだったため、新たな業務データや新規機能を追加するには容量まで含めた再設計が必要となり、変化に応じて柔軟に機能を拡張することができなかった。営業を中心とした新たなビジネスモデルの構築を目指す同社にとって、この柔軟性のなさはビジネス成長を妨げかねなかった。

 この課題をどうクリアすればいいのか。同社では「次期FRENS開発プロジェクト」を立ち上げてシステムの見直しを行い、向こう10年安心して使用できるシステムを構築した。

コンテナ輸送を支えるFRENSは、今後10年継続して利用できるプラットフォームを手に入れることができた。そのプラットフォームとは?
コンテナ輸送を支えるFRENSは、今後10年継続して利用できるプラットフォームを手に入れることができた。そのプラットフォームとは?

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