「ベテラン作業員の保守点検に関するスキル/ノウハウを若手に引き継ぎ、平準化したい」「スキル/ノウハウを持つ要員が限られるなか、保守点検作業の量と質を担保したい」――。こうした課題を抱える企業や団体で、富士通が提供するヘッドマウントディスプレイ(HMD)を活用した現場支援のソリューション導入が進んでいる。3つの事例を基に、その可能性を探ってみよう。

 工場の製造設備や道路・橋などの社会インフラの機能・能力の維持には、保守点検作業が欠かせない。定期的な点検を滞りなく実施すると共に、異常の予兆を検知した際は適切な処置を迅速にできなければ、設備や社会インフラはその能力を十分に発揮できない。

 一方で保守点検作業は人手に頼る部分も大きい。対象となる設備やインフラの状態はそれぞれ異なるので、画一的な対応は難しく、作業の多くをベテランが持つスキル/ノウハウに依存しているのが実態だ。

 しかし日本社会を襲う高齢化の波は、保守点検の現場にも確実に押し寄せている。ベテランのリタイアを前に、ベテランの持つスキル/ノウハウをいかに若手に引き継ぐかは、現場の大きな課題となっている。

 すでにベテランの定年退職は始まっており、スキル/ノウハウを持った要員の不足による現場の作業の遅れや質の低下が起こり始めている。ただでさえ高度成長期に導入した設備や社会インフラの老朽化が進み、保守点検の負担は増えている。要員の経験や習熟度は問わずに、的確な保守点検作業を実施できる体制の構築が様々な業種で求められている。

 こうした保守点検の現場が抱える課題の解消に向けて、富士通はIoTやARなどのICTを使った「FUJTISU IoT Soution 現場支援ソリューション」(以下、現場支援ソリューション)を2015年5月から提供している。同社が開発した「FUJITSU IoT Solutionヘッドマウントディスプレイ」(以下、HMD)を核に、同社の持つ様々なソリューションを組み合わせて、保守点検の現場を強力に支援している。

 例えばマニュアルや指示書をデジタル化した上でAR(拡張現実)技術などを駆使してHMDに表示し、現場で直感的に確認できるようにする。さらにHMDのカメラやマイク/スピーカーを使って現場と遠隔地の間を画像や音声で結び、現場の作業者を遠隔地から支援できる体制を築くこともできる。

 以下では3つの事例を通して、富士通の現場支援ソリューションの可能性を探っていこう。

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