従来の金融サービスの姿を変えつつあるFintech(Financial Technology)。その今後を展望するうえでヒントになるのが、欧米で開催される「Money20/20」や「Finovate」などのFintech分野の大規模イベントである。これらのイベントのレポートから、Fintechのインパクトを探った。

 Fintechが大きく注目を集めたのは、一般に2008年のリーマンショック以降であるとされている。既存金融機関への不信感の高まりを背景に、シリコンバレーを中心としたスタートアップが開発した家計管理(PFM)やモバイルペイメントなどの新サービスが若年層を中心に支持を集めることとなり、それがFintechとして大きく裾野を広げ、ブロックチェーンの活用などの新たなトレンドを次々と生み出している状況だ。

最新のIT技術をエンジンに進化を続けるFintech

 Fintechはその名の通り、進化し続けるITテクノロジーによって支えられている。ITがクラウド、ビッグデータ、モバイルへと軸足を変えてきたのに合わせて、Fintechサービスで利用されるテクノロジーも変化を続けている。

Money 20/20の会場の様子
Money 20/20の会場の様子

 例えばIT分野では今、AI(人工知能)やAR/VR(拡張現実/仮想現実)への関心が高まっている。Fintechでもこの傾向は共通だ。2016年10月に米ラスベガスで開催されたFintech/決済分野の大型イベント「Money 20/20」では、VR技術を活用したサービスのデモが注目を集めた。大手ATM(現金自動預け払い機)メーカーである独ディーボルト・ニックスドルフ(Diebold Nixdorf)が実演した、VR技術を活用したサービスである。スマートフォンを活用したVR用デバイスを装着すると、利用者の眼前にバーチャルなスーパーマーケットが展開され、実店舗さながらに店内を歩き回り、気に入った商品を選択することができる。デモでは、実際に商品を購入することはできないが、スマートフォンとアプリを活用した簡単な方法で次世代のテクノロジーをうまく活用していることがわかる。米ビザ(Visa)も、ヘッドマウントディスプレイを使ったVRサービスのデモを行った。

 新しい技術は常にチャレンジの対象になるが、実際には数年で姿を消してしまうサービスも少なくない。そうした中で、Fintechサービスの今後の発展を大きく左右するかもしれないと考えられるのが、ブロックチェーンとAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)である。

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