人手で行ってきた業務を、ソフトウェアで自動化する「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」。企業における働き方改革や業務効率の大幅な向上が求められている今、その導入が広まってきている。特に金融機関ではその傾向が強い。マイナス金利、人口減少に伴うマーケットの縮小、Fintechの進展による新しいプレイヤーの登場などにより、業務の効率化と新しいサービスやビジネスを生み出すための労働力の捻出の必要性が出てきたからだ。ただ、業務の効率化はRPAツールを導入すればすぐに実現できるわけではない。導入企業には、適切な対象業務の選定やRPAツールの選択などが求められる。

 RPAとは、ロボットが人間の代わりに自動的に業務を処理することを指す。ただし、ここでいうロボットは、人型ロボットや工業ロボットではなく「ソフトウェア」だ。これまで人間が行ってきたコンピュータ上の処理を代行する。主にホワイトカラーの業務の効率化、自動化を行う。効率化だけでなく、人手では手間が掛かりすぎて出来ない作業の自動化にも利用できる。

 例えば、Webサイトで最新の経済指標を調べて、コピー&ペーストでExcelのシートに貼り付け、業務システムから持ってきた売上数字と合わせて一覧表を作るといった作業があるとしよう。この作業をRPAツールに覚え込ませれば、次からはボタン一つで一覧表を自動で作ってくれる。ソフトウェアがコンピュータ上で処理するので、作業は一瞬で終わる。しかも、常に正確で、24時間いつでも動かすことができる(図1)。

図1 RPAツールでユーザーの操作を自動実行
図1 RPAツールでユーザーの操作を自動実行
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 RPAの最大の特長は、人によるコンピュータの操作を記憶して再現すること。開発には、ソフトウェアの設計やプログラミングなど、従来のシステム開発のような大掛かりな仕組みは必要ない。ユーザーが行う作業をRPAツールが記録し、自動的にプログラムを生成して再生可能にする。アプリケーション画面やWebページなどソースコードを解析し、どこをクリックしたか、どのフィールドに入力したかなども記録できる。これまで人手でやっていた業務をロボットに委ねていく感覚で実装できる。RPAが「デジタルレイバー(仮想知的労働者)」と呼ばれる所以だ。

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