スマホを使っていてレスポンスの遅さにイライラした、あるいは探したいコンテンツにたどり着くまでに苦労した経験を持つ方は多いだろう。通信環境の問題を別にすれば、サービス提供側のシステムに障害などが発生しているケースは少なくない。特に日本人はクレームを表に出さない。クレームは実際の不満の2~3%にすぎず、不満を持っていても90%以上は何も言わずに利用を止め、他のサービスを探してしまう。
似たようなサービスが次々に生まれるなかで、自社サービスを多くの人々に届けるためには、使用者が快適に使える安定したシステムが必須条件。そこで、注目を集めているのがカスマターエクスペリエンス(CX、顧客経験価値)である。日本CAのマティ・カフェマン氏は次のように説明する。
「私がよく見るスマホのニュースサイトが2つあります。1つはコンテンツの質は優れているのですが、レスポンスが遅くて使い勝手もよくない。もう1つはコンテンツの質は比較的劣りますが、サクサク動いて使いやすい。両方のニュースサイトを比べて、後者を選ぶケースはかなり多いのではないでしょうか」
あらゆるWebサイトがコンテンツの質を競っているが、それだけで勝負が決まるわけではない。カスタマーエクスペリエンスが一定水準に達しなければ、おそらく勝負の土俵にも上がれないだろう。それほど、Web上のサービス間競争は熾烈だ。
カスタマーエクスペリエンスは消費者向けのサービスだけでなく、法人向けのサービスにおいても重要だ。例えば、顧客企業からの注文を受け付けるWebサイト。複数サプライヤーの中から、いかに自社サイトを選んでもらうか。顧客に選ばれるためには、カスタマーエクスペリエンスへの目配りは欠かせない。全てのユーザに対してだ。
企業内で使うアプリケーションも同様だ。わかりにくい画面や操作性を放置していれば、やがてアプリケーションは使われなくなるかもしれない。それは、アプリケーション開発投資に対する社内の疑問の声を高めるだろう。
どうすれば、カスタマーエクスペリエンスを向上させることができるだろうか。そこには大きく3つの要素があるとカフェマン氏はいう。その3つの要素とは。