ECの分析手法をリアル店舗に適用、アパレルが本気で取り組む店舗IoT計画とは?

 総合アパレルの大手企業であるTSIホールディングス(以下、TSI)。2011年、東京スタイルとサンエー・インターナショナルの経営統合により誕生した同社は、約34のファッションブランドと約1500店にも及ぶリアル店舗を有し、そのブランドの数々は世代を問わず幅広く愛されている。

 最大の特長は多岐にわたるブランド展開だ。若年層のメンズ、レディースを中心に人気を集める「ナノ・ユニバース」「ローズバッド」をはじめ、レディースカジュアルの「ナチュラルビューティベーシック」、ストリート系の「ステューシー」、ゴルフウェアの「パーリーゲイツ」「キャロウェイアパレル」、コレクションブランドの「ジル スチュアート」「マーガレット・ハウエル」など、非常に守備範囲が広い。

 同社では成長戦略の一環としてデジタル化に取り組んでいる。核となるのはオムニチャネルの推進だ。ブランドのEC化率を向上する一方、モバイルファーストを念頭に置いたリアル店舗でのスマートフォン×アプリの施策も進める。こうした中、2016年7月にはデジタルとリアルをより強固につなぐ架け橋として、リテールネクストによる店舗IoTプラットフォームの導入を決めた。

 米サンノゼに本社を置くリテールネクストは2007年の設立以降、一貫してリテール(小売業)向けの店舗分析プラットフォームを提供してきた。これまで全世界300以上のリテールブランドに導入実績を持ち、2015年9月には日本支社を設立。TSIの事例を皮切りに、今後は日本での展開も深めていく。

 このプロジェクトにおいて橋渡し役を務めたのがインテルである。インテルでは2015年からIoT事業を本格化しており、これまで培ったコンピューティング技術を活用しながら、IoTに欠かせない技術基盤やプラットフォームの構築を加速。今回はリテール業界の業務変革を支援する立場から両社にコミットしている。

鼎談の参加メンバー。左からTSIホールディングス 執行役員 柏木又浩氏、インテル インダストリー事業本部 シニア・マネージャー 津乗 学氏、リテールネクスト・ジャパン ダイレクター 関根正浩氏
鼎談の参加メンバー。左からTSIホールディングス 執行役員 柏木又浩氏、インテル インダストリー事業本部 シニア・マネージャー 津乗 学氏、リテールネクスト・ジャパン ダイレクター 関根正浩氏

 では、具体的に店舗IoTプラットフォームとはどのようなものなのか。リテールネクストの担当者によれば、「ECの分析手法をリアル店舗に適用するのがコンセプト。売上アップとコスト削減の2つの観点から店舗運営に貢献する」というものだ。そこで今回、日本では最先端事例となる取り組みをTSI、リテールネクスト、インテルの担当者が同席し、インテルの担当者がモデレートしながら鼎(てい)談形式でじっくりと語り合った。果たして、“生の声”から見えてきた「リテールの未来とは」――。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。