企業の規模にかかわらず、業務がITに依存している限り、システム障害や人為的なミスによるデータの消失が起こると、その業務に致命的な影響を与えることになる。例えば、学校の職員室で生徒の成績データを消してしまったら、成績表を作り直さなければならないし、小さな店舗で売り上げデータが消失すると、確定申告を行えない。システム規模が小さいからといって、データのバックアップを取ることをおろそかにはできないはずだ。

 ところが、システム規模が小さくなればなるほど、運用に割ける予算の制約も大きく、また十分なスキルを備えた人員を配置することも難しくなる。場合によっては、少しITに詳しいというレベルの担当者がたった一人で、本職の業務との兼任によって全社のシステムを切り盛りしているというまさに「一人情シス」とも言うべき状況も少なくないだろう。

外部メディアへの単純なファイルコピーがバックアップと言えるのか?

 一人情シスになった担当者の立場からすると、バックアップは確実に担保しておきたいと思う反面、バックアップシステムを導入したり、設定したりする作業は難しそうでやりきれていない。日々の運用・管理についても、バックアップ時間が長くかかったり、自動でやっていても確認作業がおっくうだったりする。仮にトラブルが発生したとすると、どのように復旧するのか不安になる。サーバーやクライアントPCをまるごと復旧したり、ファイル単位で復旧したりという作業は、普段からやり慣れていないことなので、操作ミスでさらに被害を深刻にしてしまいかねない(図1)。

図1●「一人情シス」が抱えるバックアップの課題
図1●「一人情シス」が抱えるバックアップの課題
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 一人情シスの“ありがちなバックアップ”はというと、クライアントPCやサーバー上の重要データを、外付けハードディスクやUSBメモリーなど外部のメディアに、個別にファイルコピーするといったやり方だ。それではバックアップ運用において不可欠な世代管理は行われず、「データを任意のある時点に戻したい」といったニーズに応えられない。システムがランサムウエアなどマルウエアに感染したら、コピーしたデータも感染し、もう二度と感染前の状態に戻すことができない。

 とはいえ、そうしたデータの世代管理をも含めた適正なバックアップ運用を行っていくとなると、さらに人的負荷が高まってしまうというジレンマがあるのも事実だ。では、中小企業などITに割ける予算や人的リソースについての制約が大きいユーザーが、本来あるべきバックアップの運用を日々確実に実践していくためにはどうすればよいのであろうか。コスト面、運用管理面で中小企業のそうした要請に応え得るバックアップソリューションとはどのようなものか。

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