課題だらけだったコンタクトセンターを刷新
「情報」がビジネス成長のカギを握る時代、市場の声に耳を傾けることの重要性がますます高まっている。問い合わせやクレームに素早く対応したり、要望を製品開発に生かしたりすることは当然だが、ニーズを先取りしたサービスを実現するには、さらに一歩踏み込み、サイレントマジョリティの声をつかみ取ることも大切だ。
そうしたなか、その実現に挑み、大きな成果を上げる企業がある。それがコンビニエンスストアチェーン大手のローソンである。
同社は、店舗利用客やフランチャイズ店舗オーナーの問い合わせに対応し、その「声」をビジネスに取り込む仕組みとして統合型コンタクトセンターを整備している。これにより、電話やメール、Webなどの様々なチャネルの声を一元的にとらえ、“個客”を認識したサービス向上につなげることができている。
だが、もちろん同社も、はじめからこうした仕組みを備えていたわけではない。過去には、コンタクトセンターの窓口がいくつもの拠点に分散し、業務を担うシステムや運用を委託するパートナーもばらばらだった時代があった。
そのころは、問い合わせ内容を社内横断的に捕捉し、精査するといったことは不可能だった。要望に応える施策をプロアクティブに実施することは難しい上、個々の問い合わせに対しても、インフラ・システム上の制約により、窓口の「たらい回し」が多発。サービス品質も課題だったという。
ローソンは、いかにしてこうした環境と決別し、現在の体制を実現したのか。次ページ以降で、その詳細に迫る。