現在のIoT活用はまだ「不完全」
既に様々な領域で実利を生み出しつつあるIoT。活用に取り組む企業は続々と増えており、ビジネスの現場をドラスティックに変えている。
ただ、事例が積み重ねられるなかで、課題も浮き彫りになってきた。単にセンサーを設置してデータを吸い上げるだけでは、価値創出につなげることは難しいということが分かってきたのだ。
工場設備の予防保守を例に考えてみよう。機械に取り付けたセンサーで稼働データを取得し、分析することで「3日以内にある部品が破損する可能性が高い」ということが分かる。この段階までは多くの企業が実現できるだろう。問題はそのあとだ。
まず、当該の部品をどう手配するか。必要な部品は社内のどこに、何個保管されているのかを即座に把握できる企業は少ない。多くの手間と時間をかけて確認した結果、もし自社に在庫がなければ部品メーカーへの発注が必要になり、結局、故障前に修繕することは難しくなる。
要員の確保もやっかいだ。故障しそうな部品が特定のスキルを持つエンジニアしか扱えないものだった場合、別拠点から呼び寄せるか、業者に依頼する必要があるだろう。そもそも、社内の誰が必要なスキルを持っているかを確認するだけで、数日かかってしまうケースもあり得る。
多くの場合、こうした状況は、IoT活用に向けて構築した新規システムが、部材や要員などの情報を持つ既存システムとうまく連携していないことによって起こる。そこでいま注目されているのが、SAPが提唱するまったく新しいデジタル活用のプラットフォーム、「SAP Leonardo」である。これにより、企業はIoTの効果を最大化できるほか、自社のビジネスにこれまでにない価値を与えることが可能になるという。
では、SAP Leonardoとはどんなものなのか。次ページ以降で、その詳細と実際の活用シナリオを見ていこう。