マーケティング現場での実践から導き出されたある結論
リードを獲得してナーチャリングを行い、成約見込みの高いリードを営業担当者に引き渡す。これら一連の作業を自動化・最適化する手法として注目されているのがマーケティングオートメーション(MA)だ。
日本でも実際にMAツールを導入している企業も増えており、導入を検討しているマーケティング担当者は多いはずだ。
このMAの中核的な機能とされているのが、「リードスコアリング」と「コミュニケーションシナリオ」である。リードの属性や自社サイト内での行動、メールへの反応などから購買の「見込み度」をスコアで定量化し、事前に設定したコミュニケーションシナリオに基づいて、特に見込みスコアの高い顧客に対してアクションを自動実行する。まさにマーケティング担当者にとっては夢のようなツールである。実際、これらの機能と有効活用を強調するMAツールベンダーも多い。
しかし、「スコアリングとシナリオは、一般に思われているほどの効果を発揮するには難易度が高い」という指摘もある。
リンクの小川 泰範氏も、そう指摘する1人だ。1987年に設立され、東京・赤坂に本社を構えるIT企業である同社は、BtoB領域を中心にサーバーホスティングをはじめとする4つの事業を展開している。MA活用にも積極的に取り組んでおり、小川氏は、3種類のMAツールを導入してきた実績があるという。その利用経験からたどり着いたのが前述の評価。「正直、私はスコアリングとシナリオを、むしろ役立たずだと考えています」と小川氏は言う。
なぜ小川氏は、そのような結論にたどり着いたのか。また、MAを成功させるために本当に注目すべきポイントとは何なのか。次ページからは、小川氏の経験をさらにひもといてみたい。