システム部の運用業務の中でバックアップはどれくらいの“比重”を占めているだろう。ハードやソフトなどの監視とそのトラブル対策、パッチなどのセキュリティ対策、ユーザー部門に対するヘルプデスク、少しずつ入れ替わるシステムの切り替え・移行作業など、忙しい日々の業務の中に、当然バックアップ作業も折り込まれているはずだ。
どちらかというと“影の存在”であるバックアップは、いざという時の備えであって、表に出る存在ではない。しかし、その運用業務の内容はチリも積もれば意外に負荷が重く、システム人員の体力を奪っている。この問題を探ることで、システム運用に潜む“見えないコスト”をカットすることが可能になる。
知らないうちに負荷になっているバックアップの課題とは?
バックアップは自動や半自動で運用しているはずなので、どこにそんなに足を引っ張る要因があるのか--と疑問に思うかもしれない。しかし、中堅企業では数十台のサーバーが動いており、大企業ともなれば数千台のサーバーが動いている。台数が多い上に、ERP(統合基幹業務システム)やWebサーバー、そして情報系のファイルサーバーなどと、サーバーの種類が異なり、そこでは往々にして異なるバックアップシステムが稼働しているのである。
例えば、自動でバックアップされた状況を管理画面から確認するのに、10分かかるとしよう。もし、4種類のバックアップシステムが動いているとしたら40分間、実質1時間はかかっている。これが毎日、後を引いていくわけだ。
バックアップスケジュールも盲点だ。システムやネットワークが空いている時間を見計らってバックアップを行うが、データ量が増えるに従ってスケジュールは過密になっていく。システムによっては深夜に終わるはずのルーチンが翌朝のアクセス集中時間にずれ込むこともありがちである。複数のバックアップシステムを併用していて、これらをうまくさばいていけるだろうか。
異なるシステムは操作方法も異なり、画面上の確認項目も違っている。自動メールで担当者に伝えるという方法も、メールの形式がまちまちだ。こんな状況でひとたびエラーが発生して、バックアップデータからリストアしなければならない状況になっても、システム部門は素早く、正しく復旧できるのであろうか。
バックアップは“影の存在”という表現が、皮肉な現実を招かないように、“光の存在”として運用上の課題を解決する手立てを検討する必要がある。