欧米でワークステーションが新しいトレンドに。その理由とは?
今、ワークステーションが注目を集めている。実際の市場予測を見てもPC市場が毎年縮小傾向にあるのに対して、ワークステーションはワールドワイドでも堅調な成長を続けている。
特に欧米ではモバイルワークステーションに対するニーズが高い。日本ではデスクトップ型が主流でノート型は1割程度にすぎないが、欧米はノート型が全体の約1/3を占め、市場の伸びも高い。「その背景の1つは働き方の可能性をさらに広げることができるからです」と指摘するのは、デルでワークステーションの販売戦略や企業への提案を行ってきたスコット・ハミルトン氏である。
「欧米では場所や時間にとらわれず、どこでも柔軟に働くスタイルが浸透しています。今日は自宅、明日はオフィス、また休憩中のカフェや飛行機での移動中にも仕事をします。特にプロフェッショナルなクリエーター層が、そういった自由な働き方を実現するためには、モビリティ性とパフォーマンス性を備えたモバイルワークステーションが欠かせません」(スコット氏)
現在、モバイルPCやスマートデバイスの普及とともに、外出先でも様々な業務が行えるようになった。だが、その使い手はこれまで営業やフィールドワーカーといった一般的な職種に限られており、映画やアニメーションの制作に携わるクリエーター、自動車やその部品を設計するエンジニア、街や家づくりを行う建築家といったユーザー層は対象外だった。なぜなら、これらのユーザーが使うアプリケーションやデータは非常に高い処理能力が要求され、既存のPCやデバイスではその役割を担うことが難しかったからだ。
その点、強力なスペックを持つCPUやGPU、ストレージなどが実装されたモバイルワークステーションなら、CAD/CAMをはじめとした高負荷なアプリケーションでもストレスなく快適に扱うことができる。
さらにモバイルワークステーションは信頼性も高い。多様な環境での動作検証や信頼性のテストが入念に行われ、何よりも故障しないことを重視して設計・製造されているため、ミッションクリティカルな職種であっても常に安心して業務を行うことができる。
こうしたメリットが評価され、「最近では一般のビジネスパーソンにもモバイルワークステーションが急速に浸透しつつあります」とスコット氏は言う。このトレンドは日本市場でも拡大してくるはずだ。オフィススペースが限られていること、またワークスタイル改革にも積極的に取り組む企業が増えていることを考えれば、日本でもモバイルワークステーションへの潜在的な需要は大きい。特に製造や設計に携わる企業であればなおさらのことだろう。
ただし、ワークステーションならどれでもよいという訳ではない。ユーザーの生産性に直結するだけに、様々な要件を考慮しておく必要がある。そこでワークステーションを選択する際に考慮すべきポイントを紹介する。