データ活用の成功企業に特有のアプローチとは
社内外に存在する膨大な「データ」を、積極的にビジネスに活用する――。デジタル全盛の現在、この取り組みは、企業活動における必須ミッションになりつつある。
複数の顧客接点で得た情報を分析し、個々の顧客の好みや行動に合わせた提案を行ったり、顧客の属性を細かくセグメント分けし、ターゲットに“刺さる”キャンペーンを打つといった取り組みはその一例だ。こうしたデータ活用は「BIツール」を導入することで可能になる。従来は大手企業が中心だったBIツールのユーザーも、現在は大きく拡大しており、多くの中堅・中小企業が、高度なデータ活用で飛躍的な成長をものにしている。
ここで注目したいのは、成功を収める中堅・中小企業の多くは、BIツールの選定プロセスで、ある特徴的なアプローチを取っているということだ。
今回は、とある小売業2社のBIツール導入に向けた取り組みを比較・検証することで、そのポイントを探ってみよう。
●SAマート 情報システム部門 部長
勝山 太郎(かつやま たろう)
食品、衣料、化粧品から雑貨までを扱う「SAマート」を全国に15店舗展開するチェーンストア。勝山は、冷静さと判断力を兼ね備え、経営層からも信頼の厚い情報システム部門長だ。積極的なソリューション提案で自社の成長を支えている。
●笑顔屋 T部門長
牧原 彰(まきはら あきら)
食品系を強みとする中堅チェーンストア。消費者ニーズの多様化を受けて、現在は取扱商品の多角化に力を入れている。情報システム部門を統括する牧原は、優しい性格と物腰の柔らかさで部下から慕われているが、一方で管理者としてはやや押しに弱い面も。