デジタル変革を阻むICT運用の“負の連鎖”

 AI、IoTなど、先進テクノロジーを活用したデジタル変革に取り組む企業が急増している。一方、その裏で悲鳴を上げている情報システム部門は多いだろう。あらゆる「モノ」「コト」がデジタル化されていくなか、求められる役割が大きく変化・拡大し、現実との乖離が生じつつあるからだ。

 例えば、システムの運用・監視やトラブルへの対応、ビジネスの変化に応じたリソースの最適化といった既存業務はもちろん、各業務部門のデータ分析ニーズに応えるためのデータ作成や、続々登場する新デバイスへの対応といった新しい業務も増えている。対応の遅れはビジネス機会の損失につながるため、これらはいずれも、ほかの業務を差し置いてでも取り掛かる必要がある。

 また、セキュリティリスクへの対応やコンプライアンス強化の要求も高まっている。業務部門が独自にクラウドサービスを利用したり、プライベートの端末を社内システムに接続したりする「シャドーIT」は、情報流出などの原因となるため早急に対処しなければならない。グローバルに事業展開する企業の場合、これらの対応はより難しいものになるだろう。

 そこにデジタル変革のミッションが追加されようとしている。もはやITの運用現場では、業務標準化などを悠長に検討している場合ではない。目の前の作業をこなしていった結果、「あの人しか知らない」運用フローが次々生まれ、担当者のオーバーワークが常態化。人為ミスが増えていく……。現場では、こうした負の連鎖が起こっているケースが少なくない。

 バックエンドである情報システム部門に人を増やすのが難しい以上、別の手段で部内のリソースを“解放”することは、デジタル改革の必須ミッションだ。企業は、どのような手を打てば良いのか。

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