データ活用を阻む「人的リソース」の課題

 デジタルシフトによって、情報システム部門の役割は大きく変わりつつある。各部門からの頼まれごとへの対応や、システムの運用保守をコア業務とする組織から、“攻めのIT活用”でビジネス変革を主導する組織へと転換することが求められているのだ。

 例えば「データ活用の推進」はその1つ。組織内外に存在する大量のデータを収集・分析することで、市場の潜在ニーズ発掘や、製品・サービスの改善といった効果が狙える。情報システム部門は、使いやすく、高性能なデータ活用環境を現場に提供することで、経営に大きく貢献できる。社内での存在価値も、ぐっと高めることが可能になるだろう。

 だが、話はそううまくはいかない。多くの情報システム部門が、人的リソースの不足によってそうした取り組みを進められずにいる。特に中堅・中小企業では、この課題を強く感じている人も多いだろう。二の足を踏んでいるうち、ライバル企業に先を越され、市場での存在感を失っていくケースは少なくない。

 この状況を打開する方法はあるのか――。そこで今回は、ある製造業2社の取り組みを比較することで、その指針を探ってみよう。



●エス・エー工業 情報システム部門 部長
栄原 勝(えいはらまさる)

本社と3つの工場に250名の社員を抱える製造メーカー。栄原は、IT技術の最新動向を常にチェックしている頼れる部長だ。10名の部門メンバーを従え、より効果的なデジタル活用を模索している。家では5歳&2歳の娘にメロメロな子煩悩パパ。




●巻田製作所 IT部門長
尾藤 二郎(びとうじろう)

エス・エー工業と長年ライバル関係にあり、売り上げを競ってきた製造メーカー。だが最近は、どうもエス・エー工業に出し抜かれ気味。尾藤は、経営層のプレッシャーの下、一層のIT活用で巻き返しを狙う。部下に好かれる熱血部長だが、頭が固いのが玉にキズ。


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