複数のパブリッククラウドやオンプレミスのプライベートクラウドといったシステムインフラを適材適所に活用していこうと考える企業が増えている。そうした中、採用される技術や管理方法がクラウド間で異なっていることに起因して、思ったようにコスト効果が上がらない、個々のクラウドの運用がサイロ化してしまい、結果、管理負荷が高まってしまうというような問題も顕在化している。これに対し、ハイブリッドクラウド環境におけるシステムインフラの「あるべき姿」を提示しているのが、HCIの代表的ベンダーとして知られるニュータニックスだ。
かねてより企業の間では、「クラウドファースト」のかけ声のもと、パブリッククラウドをシステムインフラの第一の選択肢とする考え方が定着してきた。昨今ではさらに進展して、クラウドの採用をいわば当たり前とする「クラウドノーマル」という言葉が聞かれるほど、パブリッククラウドが一般化しつつある。そうした状況にあって、いわゆる「モード1」や「モード2」、SoR(Systems of Record)やSoE(Systems of Engagement)といったシステムの特性などによって、異なるパブリッククラウドサービスを適材適所に使い分ける、マルチクラウド化へと舵を切る企業も増えている。
そうしたマルチクラウド化は、企業システムに新たな課題を突きつけているのも事実だ。つまり、利用するクラウドサービスが違えば、運用管理やその使いこなしにかかわるスキルなども異なり、それらクラウドサービス間の連携を図ろうとしてもシステムが複雑化してしまうわけだ。その帰結として、個々のクラウドの運用がサイロ化し、情報システム部門の運用管理負荷が増大してしまうといった、一昔前の企業システムのような状況に逆戻りした問題を引き起こしているのだ。
また、企業の中には、セキュリティ上の問題などからパブリッククラウドへの移行が適さないシステムを、従来通りオンプレミス環境にとどめ置き、プライベートクラウドなどのかたちで運用するという方法が採られることも多い。特に近年、企業の間で急速に受容が進んでいるハイパーコンバージドインフラ (HCI)が、そうしたアプローチを強力に後押ししていることは周知の通りだ。
要するに、既に述べたマルチクラウドに加えて、企業ではそうしたオンプレミス側のインフラをも含めたハイブリッドな環境を、いかに効果的に管理し、適切に運用していくかという問題に直面しているわけだ。言い換えれば、今後、企業が複数のクラウドサービス、オンプレミス環境を適材適所に活用し、それぞれのインフラがもたらすメリットを最大限に享受していくうえでは、現状に変革をもたらすブレークスルーとなる技術が望まれるものといえる。
去る2017年9月15日、HCI製品の分野をリードするベンダーとして知られるニュータニックスが東京都内で「Nutanix .NEXT ON TOUR IN TOKYO 2017」を開催。同イベントにおいて紹介された同社のテクノロジービジョンは、まさにそうしたハイブリッドクラウド時代の要請に応えるものだ。次ページ以降で、同イベントの基調講演の模様をベースにその内容を紹介する。