チャットとAIの組み合わせで顧客に新しい体験を

 近年、選ばれる商品やサービスを提供するために欠かせないのが、顧客にどのような体験を提供できるかという視点だ。いわゆる「カスタマー・エクスペリエンス」の創出である。

 カフェであれば、単にコーヒーを提供するのではなく、日常で手に入れられるちょっとした満足感を提供する。小売店であれば、買い物をするプロセスそのものを楽しめるような工夫をする。こうした工夫が商品・サービスのファンを作り、企業の成長を支える大きな力となる。

 そこで、さらに新しい役割が期待されているのがコンタクトセンターである。数年来、従来のコストセンターではなく、プロフィットセンターとしての強化が進んできたコンタクトセンターだが、顧客との継続的な接点である強みを活かして、顧客に新しい体験を提供するカスタマー・エクスペリエンスの創出役に変わろうとしているのである。

 こうしたチャレンジに取り組み、すでに成果を上げつつあるのがSMBC日興証券だ。同社がコンタクトセンターに投入したのが、コミュニケーションツールとして浸透したLINEを使ったチャット、そして、AI(人工知能)で自動回答するチャットボットである。

 AIによる自動回答機能を備えたLINEのチャットの導入後、このチャネルを利用する顧客は急増。現在では、提供開始から約10倍に増加しており、口座開設、取引増加の起爆剤となっている。

 成功のポイントは、AIが得意なことと苦手なことを見極め、何をAIに任せるか、AIと人をどう連携させるかだったという。果たして、AIは、同社の顧客にどう受け止められ、どんなインパクトをもたらしたのか。次ページからは、同社の事例を紹介し、より具体的な成功のポイントを探っていく。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。