ハードウエアとソフトウエアを一体化し、導入の手間を大幅に軽減

 2016年4月、いよいよわが国でも低圧需要家(家庭や小規模事業所など)向けに電力の小売自由化がスタートする。これを機に、電力事業者では、変化に俊敏に対応するためのシステム改革を推進しており、あらめてITの重要性が高まっている。

 特にわが国では、各家庭に設定されたスマートメーターから30分ごとに情報を収集し、電力使用量を計算した上で1時間以内に小売事業者などへ提供する必要がある。これを実現するために、ITシステムには高い処理能力が求められるが、注意しなければならないのは、単に高性能なサーバーを導入しただけでは求める性能を得られないということだ。ITシステムはサーバーの他に、情報を蓄積するストレージ、実際に処理を行うソフトウエアなど、さまざまな要素で成り立っている。これらを適切に組み合わせて、処理内容に合わせてチューニングを行わなければ、高い性能を得ることは難しいのだ。

 この課題を解消すべくオラクルが提供しているのが「Oracle Exadata」である。これは業界標準のデータベース「Oracle Database」をはじめとするソフトウエアと最新のハードウエアが設計段階から一体として開発されたデータベース専用マシンであり、データベースを知り尽くしたオラクルの手によって事前に構成された上で提供される。それにより、導入時におけるシステム構築などの手間が大幅に軽減され、短期間で導入できることが大きな特色となっている。

高い性能と拡張性を実現する独自技術

 高い処理能力を備えていることも、Oracle Exadataの特徴である。

 高速な内部通信を実現するInfiniBand、データを素早く読み書きできるフラッシュメモリなど、Oracle Exadataでは高性能を支える最新のハードウエアと、他に類を見ないExadataソフトウエア機能が、システム性能を最大限に引き出すための並列処理や圧縮を実現する。そのため、手間の掛かるチューニング作業を行わなくても高速な処理が可能なのだ。実際、既存のソフトウエアを改修することなく、データベース環境をOracle Exadataに切り替えるだけでも、システムのパフォーマンスは大きく向上する。これだけの性能を汎用的なサーバーとソフトウエアの組み合わせで実現するのは不可能だろう。

 管理対象のスマートメーターの増加などに伴い、より高い処理能力が必要となった場合でも、Oracle Exadataを増設するだけで処理能力を高められる拡張性の高さも大きな利点である。それを可能にしているのが、オラクル独自のクラスタリング技術「Oracle RAC(Real Application Cluster)」だ。同技術によって処理を分散することで、追加した台数に比例して処理性能を向上させられるのである。ストレージに関しても同様に「Oracle ASM(Automatic Storage Management)」により拡張できる。

 このように、スモールスタートかつ短期間での導入が可能なほか、高い性能と拡張性を備えたOracle Exadataに対する評価は高く、国内でも多数の企業のシステムで利用されている。電力業界では、膨大な数のスマートメーターから得られる情報を処理するためのデータベース基盤として、東京電力が既に採用している。

※本記事は月刊『エネルギーフォーラム』(エネルギーフォーラム発行)2015 年6月号に掲載したものです。

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