久留米市が、ハイパーコンバージドインフラを採用して仮想化基盤を構築した。多様な業務システムを統合してコンピュータールームへ集約し、セキュリティを強化しつつ、運用管理性の向上、確実なデータバックアップを実現している。
「定住促進」を目標に掲げ住民サービスの充実を図る久留米市
福岡県南部に位置する久留米市。古くから交通の要衝として発展してきたが、九州新幹線久留米駅の開業で九州の各都市や関西圏とも直結され、地の利の良さがあらためて注目されている都市だ。県内最大の農業生産エリアであり、人口1,000人あたりの医師数は全国トップクラスを誇るなど、その暮らしやすい環境から、近年は博多を擁する福岡市のベッドタウンとして存在感を増している。2008年には人口30万人を超え、中核市への移行を果たした。
久留米市では定住促進をテーマに住民サービスを下支えする要素のひとつである情報処理システムの最適化を積極的に進めてきた。
「久留米市の情報処理システムは、住民基本台帳や戸籍などを扱う基幹系と、内部事務などに使われる情報系に大別されます。平成20年に先行して実施した基幹系システムの最適化に続き、平成27年度からは第二次業務システムの全体最適化基本計画に基づいて情報系システムの最適化に取り組んできました」と説明するのは、久留米市 総務部 情報政策課長 星野 正和氏。
この背景にあったのは従来のシステム環境における課題だった。これまでは業務主管部門がそれぞれ個別にハードウェアを調達してシステムを構築しており、それらがサイロ化していた。個別最適化により、全体で見れば余剰リソースが膨らんでいたのだ。久留米市 総務部 情報政策課 システム管理チームの志岐健一郎氏は次のように話す。
「調達コスト、システムリソース、スペース効率のいずれにも無駄が多い状況でした。なにより抜本的な解決が求められていたのは、セキュリティの問題です。機器の設置場所が各所各様であったため、物理的なセキュリティ対策を施すことが困難になっていました」
これらを解消するために情報政策課が選択したのが、情報系の主要9システムの仮想化基盤への集約・統合である。