急速に普及した個人向けチャットがビジネスリスクを招く

 「お世話になっております」「よろしくお願いします」といった、メールで使われる定型文は必要ない。会話と同じような感覚で、短いセンテンスのやり取りができる上、既読/未読の把握もでき、過去のやり取りも時系列で表示できる。さらに、感情を表すイラストも送信できるため、微妙なニュアンスも伝えやすい――。

 これらの特徴を持つ「チャット」が、ビジネス現場の新たなコミュニケーション手法として注目されている。背景にあるのは、2011年の「LINE」登場だろう。ご存じのとおり、約5年の間に爆発的に普及したLINEは、コミュニケーションのあり方を大きく変えた。その流れが、ビジネスの現場にも押し寄せているのだ。

 LINEはコンシューマー向けツールのため、ビジネスで求められる管理性やセキュリティ要件は考慮されていない。そのため、これがビジネスに持ち込まれると、情報システム部門が管理できない「シャドーIT」となり、情報漏えいなどのリスクを生んでしまうことになる。そこで現在は、十分な管理性とセキュリティが確保された「ビジネスチャットツール」を導入することで、シャドーITを未然に排除しようという動きが加速している。実際、多様なツールを比較し、最適なものを検討中という企業も多いだろう。

 ところが、ビジネスチャットツールをどんな基準で選べばよいのかというと、これが意外に難しい。

 理由としては、まだ新しい製品領域でリファレンスとなる例が少ない上、そもそも人と人との関わり合いを担うツールのため、各企業の組織体制や人員構成によって、求められる要件が大きく変わるからだ。

 一体、自社に適したビジネスチャットツールはどう選べばよいのか。後悔しないためのポイントについて考えてみよう。

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