複雑化するITインフラの「事前検証」をどうするか

 ハイパーコンバージドインフラ(Hyper-Converged Infrastructure:以下、HCI)、およびコンバージドインフラ(以下、CI)が企業システムに急速に普及しつつある。特に、サーバー、ストレージ、ネットワークを仮想化ソフトウエアで制御し、1つの筐体に「集約(Converge)」したアプライアンス製品であるこのHCIは、働き方改革を目的としたVDI環境や、迅速な立ち上げが要求される開発環境などの仮想化基盤を構築する上で、欠かせないインフラとなっている。

 一方、HCI/CIへのニーズが高まるにつれ、それを構築・提供するSIer側には新たな課題も見えてきた。それが、納品前の事前検証をどう行うかということだ。

 ユーザーにとってのHCI/CIの魅力の1つが、「最適な製品の選定や組み上げなどはベンダー側が行い、使える状態で提供される」点にある。つまり、アプライアンスが納品されたら、あとは稼働させるだけ――。このシンプルさが、加速するビジネスシーンで評価されているのだ。

 SIer側がこの利点を損なわないようにユーザーに提供するには、納品前に、「サーバーラックに機器を組み込み」「ケーブルを接続し」「稼働する」といった統合的な事前検証を行うことが望ましい。だが現実には、複数の機器を扱うHCI/CIの検証作業には広いスペースが必要。そのため、事前に行えるのは個別の機器の検証、または机上の計算までとなり、全体を組み上げるのは納品当日“ぶっつけ本番”になるケースも多いという。

 結果、いざラックに組み込もうとしたところ「スペースが足りない」。あるいは、「機器を接続するケーブルが足りない」「電源は入るが、なぜか機能しない」といった不測の事態が起こる。最悪の場合、ユーザーが予定していたシステムの立ち上げスケジュールに影響を及ぼすこともあるだろう。SIerにとっては想像もしたくない事態である。

 もちろん、自前で検証スペースを借りたり、新設したりする手はあるが、多額のコストが必要なため簡単ではない。今後もHCI/CIへの引き合いはさらに増えることが予想される。この状況にSIerはどう対応すべきなのか。

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