リース新基準に対応するだけで、営業利益が向上する!

 グローバルにビジネスを展開する企業にとって、IFRS(国際財務報告基準)への対応は必須の課題である。連結財務諸表にIFRS適用を義務付けることは世界的な流れになっているからだ。実際、2010年3月期から一定の条件を満たす企業に「任意適用」が認められたのを機に、日本でもIFRS適用企業が増え続けている。

 IFRSは現行基準の改定が進んでおり、なかでもIFRS16と呼ばれる「リース新基準」への対応が直近の重要テーマとなってくる。本基準は2016年1月に最終基準書が公表され、2019年の事業年度より強制適用されることになった。これにより借手のリース契約は原則全てオンバランス化になることから、従来貸借対照表に計上されないオフバランスで処理していたオペレーティングリースも貸借対照表に記載してオンバランス化し、ファイナンスリース取引と同等の処理が求められる。

 オペレーティングリースは動産、不動産のいずれもが対象となる。機械・設備・車両のリースだけでなく、土地や建物などの不動産賃貸借契約に伴う賃借料も原則オンバランス処理しなければならない。オンバランス化に伴う業務インパクトは想像以上に大きくなる事が想定される。一方で借り手企業にはメリットもある。リース新基準に対応することで、営業利益を向上させることができるのだ。

 そのカラクリはこうだ。新基準では契約期間で支払う予定賃借料を最初に見積もって全額をリース債務として扱うが、その際将来の債務は現在価値に割り引いた金額で債務計上をする。そのため、リース債務残高にかかる利息は金融費用(営業外損益)となるため、従来販管費などで営業利益に含めて処理をしていたリース費用について、本基準が適用されると利息計上部分は営業利益には影響しないということだ。

 しかし、リース新基準への対応は業務へのインパクトが大きく、システム構築・改修の手間やコストも懸念される。リスクとコストを抑えつつ、スムーズなIFRS適用を実現するためにはどうすればよいのだろうか。

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