一足飛びにではなく、まずは土台作りから
「デジタルビジネス」というキーワードと共に、IT部門には、これまで以上にビジネスの中心で重要な役割を担うことが求められている。これまでのように、システムの構築・保守をメインに行うのではなく、イノベーションの担い手としての期待が高まっているのである。
多くのメディアでも、こうした意見が提言されているが、組織や役割、業務を変えていくのは容易なことではない。実際、どこから手を付けるべきか、何を変えなければならないのか、悩んでいる人も多いようだ。
たしかに「ITでビジネスを変革せよ」あるいは「新しいビジネスを創出せよ」と言われても、「業務システムの維持」や「コスト削減」といった業務や取り組みがなくなるわけではないし、これらが「デジタルビジネスを実現するための新たなチャレンジ」につながるとは考えづらい。しかも、そもそもどちらも一朝一夕にできることでもない。
そこで考えたいのが発想の転換だ。今、その手にある「武器」を最大限に生かし、その土台作りから始めることを考えてはどうだろうか。
実は、ほとんどのIT部門は、これまで当たり前に行ってきたシステム構築/運用の中で、自分たちでも気が付いていない「潜在能力」を蓄えてきている。その可能性は、非常に大きく、少し適用範囲を広げるだけで、企業全体を大きく変えることもできる。
次ページからは、その「武器」や「潜在能力」が何か、そして、その有効な使い方を紹介する。