なぜ工場IoTの実現はハードルが高かったのか?

 いかに高品質な製品をより低コストで生産するか――。グローバル競争が激しくなるに伴い、この必要性がさらに高まっている。しかし多くの製造業では、人間系でできることはすでにやりきっており、これまでの延長線で生産現場の効率化を図ることは難しい。

 そこで注目されているのが、工場IoT(スマートファクトリー)の実現だ。生産現場の各種設備にセンサーを取り付け、膨大なデータを収集・分析するのである。これによって生産設備の稼働状況が可視化され、問題が発生した時の原因究明を行いやすくなる。また問題がどこで起こりやすいのかも把握しやすくなるため、問題防止策を立案することも容易になるだろう。さらに、平常時のデータを蓄積しておくことで異常時の前触れを検知でき、これを予防保全につなげていくことも可能になる。これまで人の勘や経験に頼っていたことをシステム化することで、ダウンタイムをゼロに近づけていくことも夢ではなくなる。

 このような取り組みは、工場を海外に展開する上でも重要なポイントになる。日本と同様の人材確保を海外で行うのは、決して簡単ではない。そのため人間に依存するのではなく、システム化を進めていくことで、生産効率を高めていく必要があるからだ。しかし「実際に工場をIoT化するのはハードルが高い」と感じている担当者は少なくないはずだ。

 まずIoT基盤を確立するために、工場内にサーバーやIoTソフトウエアを導入しなければならない。また生産現場には多種多様な設備が存在しており、これらを全て接続するには膨大な開発工数がかかってしまう。さらに、生産ラインは常に変化しており、IoTシステムもその変化に追随しなければならない。一度開発したからといって、それで完成というものではないのだ。

 それでは生産現場のIoT化を円滑に進め、将来の変化にも対応し続けるには、どのようなアプローチを行えばいいのだろうか。以下ではその具体的な方法と、4ステップについて事例を挙げながら紹介したい。

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