ISDNサポート終了がEDIを見直す重要な転機に
インターネット接続の回線としてADSLや光回線が普及した現在でも利用が続いているISDN(INSネット)。総務省の情報通信統計データベースによれば、NTT東西のISDN契約数は2017年9月時点で、まだ200万件を超えているという(※)。NTT東西は2020年度後半にその終了を予定していたが、利用者がまだ多いことに配慮し、その予定を2024年初頭へと後ろ倒しした。しかしその「終わり」は必ずやってくることになる。
これによって大きな影響を受けると危惧されているのが、企業間取引で活用されているEDI(電子データ交換)である。ISDN契約のうち、かなりの数がEDIで利用されているからだ。ただし、EDIに関する課題はISDNだけではない。旧来型のEDIの存在自体が、ビジネス展開のグローバル化や事業拡大を阻害する要因になっているケースも多いようだ。
例えば海外の取引先を開拓した場合、日本とは異なる手順が求められることも少なくない。このような手順の導入は日本の担当者には馴染みが薄く、情報を集めようとしても日本語の資料は乏しい。そのため、既存EDIとの接続に時間がかかってしまい、相手先から受け取ったデータをあらためて手入力するといった緊急避難的な対応を強いられるケースも珍しくない。
また拠点を海外展開する場合には、日本国内のEDIシステムに手を入れたくないという思いから各地でEDIシステムを導入してしまい、日本本社からのガバナンスが効きにくくなるといったケースも見受けられる。さらにこのようなEDI展開の進め方では、日本本社と海外現地法人とのグループ内取引も効率化できない。
このような問題を引き起こしている旧来型のEDIを今後どうしていくのか。これはEDIを利用している多くの日本企業にとって、重要な課題になっていくだろう。ISDN終了スケジュールが既に見えている今こそ、EDIを根本から見直し、コストや人材を抑制した最適解を見出すべきなのである。