「i-Construction」によるデジタル革命が進行中
製造、流通、金融など、多様な産業分野で新しいビジネス価値を生み出しているデジタル技術。この潮流が、今まさに押し寄せているのが土木・建築業界だ。
国土交通省では2016年度から、あらゆる現場業務にITを取り込むことで、作業員一人ひとりの生産性向上と魅力ある現場づくりを実現する「i-Construction(アイ・コンストラクション)」と呼ばれる施策を推進している。「現場主導のIT活用」を推奨するこの施策は、一方でデジタルシフトを進めない企業に、市場からの“退出”を勧告するものとなる。そこで現在は、既存の手法にとらわれない「カイゼン」施策を打つことが、土木業界各社のミッションとなっているのだ。
そんな中、いち早く実践的なIT活用を進め、土木業界のデジタル革命を体現するのが「やんちゃな土木ネットワーク(以下、YDN)」だ。「YDNは、13の土木関連事業者と各界の有識者で構成される、技術情報を共有するための企業グループです。i-Constructionが始まる前の2015年春頃から、建機や工法、材料などに関するノウハウを互いに共有しあってきましたが、当時からIT活用はメインテーマの1つ。これまで様々な取り組みを行ってきました」と、YDNの事務局を務める正治組の大矢 洋平氏は紹介する。
その成果は驚くべきものだ。まず多くの業界同様、重要課題である「コストダウン」。これには工期の長さが大きく影響するが、デジタル化で工期を約3分の2に短縮することで、コストは約1/2まで抑えた。また、他社に先駆けてソリューション活用を行ったことで、そのノウハウをベースにした新サービスも具現化。ビジネスの枠組み自体を拡大するなど、“儲かる現場づくり”を実現している。
こうした高い成果を生み出すIT活用の秘訣は、どこにあるのか。YDNの取り組みを基に、「生産性向上」や「コストダウン」の効果を最大化するヒントを探ってみよう。