大きな時代の流れに取り残されないために
IoT時代が到来し、2020年までには全世界で500億個を超えるデバイスがインターネットに接続されると予測されている。AIやロボティクスの活用もさらに進んでいくと見込まれている。
このように、現在、デジタル技術によってビジネスや社会のあり方が大きく変化しようとしている。いわゆる「デジタル変革(デジタルトランスフォーメーション)」である。
例えば、製造業の生産現場では、生産ラインの稼働状況がリアルタイムで可視化され、問題発生の予兆をとらえ、事前に手を打てるようになってきている。特注品を大量生産する高度なマスカスタマイゼーションが実現する日も近い。流通業界では、多様なデジタルチャネルから得られた情報を基に、一人ひとりの顧客に最適なプロモーションを行うことが可能になった。金融業界でもFinTechの取り組みによって新たなサービスが続々と登場しようとしている。世界では既に、デジタル変革によって、ビジネスモデルを大きく変革した事例が増えているのである。
一方、そのような動きを横目で見ながら、まだ最初の一歩を踏み出せずにいる企業も多いのではないだろうか。デジタル化の流れは、すべての企業にとって無視できない潮流である。そのままでは、この流れに取り残されてしまう可能性が高い。
そこで、ここでは自身もデジタル変革を推進し、同時に数多くのユーザー企業を支援しているITベンダーの責任者を、日経BPイノベーションICT研究所の桔梗原所長が訪問して、インタビューを実施する。デジタル変革の本質や、それを阻害している要因、実現に向けたアプローチなどを聞いた。