データ活用の重要性がかつてないほど高くなっている。これまで経営陣には欠かせないものだったが、ここにきて現場業務でも情報収集、分析、意思決定の必要性が高まっている。生産管理、販売管理、人事給与、会計など多岐にわたるデータを現場がそれぞれの視点で活用し、日常業務に役立てることが急務だ。

 データ分析に欠かせないものとして、エンタープライズ向けBIツールを導入する企業が増えているが、現場が日常業務で思い通りにデータ活用することは決して容易ではない。BIツールの最大の機能である多次元分析機能を使いこなせるのは、IT部門などに在籍し、特別なトレーニングを受けた一部の社員に限られる。一般的には、現場のエンドユーザーはIT部門があらかじめ切り口を設定し準備した多次元データベースを利用し、ドリルダウンやスライス&ダイスの操作で与えられた情報の見え方を切り替えて利用することが多い。しかし、それだけでは現場で日々発生する情報の整理や活用といったニーズに迅速に対応できないことがよくある。

ガバナンス低下を招く表計算ソフトなどによるデータ活用

 BIツールには操作性や自由度などに制約があるため、現場での使いやすさや自由度を重視し、エンドユーザーが簡易的に使えるパソコン用の表計算ソフトやデータベース管理ソフトの人気は根強い。これなら現場業務でのデータ活用が前に進むが、使用しているうちに属人化が進んでしまい、異動や退社などによってメンテナンスができなくなることがよくある。問題はそれだけではない。会社としてのデータガバナンスが低下して、全社的なデータベースとの間でデータの不整合が発生することも珍しくない。

図1●ビジネス現場でのユーザーによるデータ活用には課題が山積している
図1●ビジネス現場でのユーザーによるデータ活用には課題が山積している
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 セキュリティやデータガバナンスを確保しながら、ビジネス現場のエンドユーザーが日々の業務でデータを活用できる環境の必要性が叫ばれ始めているが、口で言うほど簡単ではない。データ活用を進めるため現場の自由度に軸足を置くか、それともガバナンスを重視するかという選択を迫られており、どちらか1つにある程度目をつぶっている企業が少なくない。ビッグデータやIoT(モノのインターネット)が今後の企業経営を大きく左右するといわれ、データ活用の重要性は高まる一方だ。そうした中で、ガバナンスの確保と、全社員によるデータ活用の両立を図るツールはないのだろうか。

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