クリエイティブ業界にも押し寄せるデジタル化の波
新たなテクノロジーの進展により、あらゆる分野で情報やサービスのデジタル化が加速している。その波は様々な業種・業務に大きな変革を迫ろうとしている。
その1つが、デザインや広告、静止画・動画などの制作に携わるクリエイティブ業務だ。コンテンツを見る・楽しむ側のデジタル化の広がりに伴い、制作側にもデジタルへの対応が強く求められているからだ。アナログとは違う新たな表現を求めて、デジタル手法に挑むクリエイターも増えている。
しかも、時代は4K/8Kへ向かっている。HDコンテンツだけでは物足りなくなったユーザーの興味に応える上でも、クリエイティブ業務のデジタル化は必須の課題である。最新のデジタル機材を使えなければ、ユーザーの期待に応えるコンテンツ制作で後れをとることもあるだろう。
制作プロダクションやデザイン事務所など、コンテンツ制作を担う現場でも最新のデジタル機材の活用が進んでおり、それを使いこなすクリエイターのニーズが高まっている。
この流れをとらえ、デジタル技術に精通したクリエイターの育成に力を注ぐ学術・教育機関も増えている。工学(テクノロジー)と芸術(アート)の融合を目指した先駆的な大学として知られる東京工芸大学はその1つだ。工学部と芸術学部の2学部体制で「アートとテクノロジーを融合した無限大の可能性」を追求し続けている。多くの写真家を輩出している写真学科に加え、時代の流れとともにメディアアートテクノロジーの最先端教育・研究機関として進化。2003年4月には、芸術学部に日本初となるアニメーション学科が開設された。
そのアニメーション学科で助教を務める小栁 貴衛氏は、最新のデジタルデバイスに大きな可能性を見いだし、デジタル時代に求められるクリエイターの育成に力を入れている。以降では、小栁氏が実感する最新デジタルデバイスの活用法と今後のクリエイターの可能性について考えてみたい。