大量のデータの中から何らかの特性を見いだすデータ・アナリティクスへの取り組みが各所で始まっている。データをリアルタイムに解析し、そこから知見を引き出し、ビジネスに役立てる。それが他社との差別化につながり、競争優位を生み出すと考えられているからだ。

 たとえば、自動運転車。自動走行を実現するためには、大量のデータをいかに迅速に分析するかが鍵を握る。だからこそ、そこに多大な投資が行われている。そのほかにも、気象予測、地震予知、防犯さらには小売業、流通業などにデータ・アナリティクスが適用されることで、あらゆる業種のビジネスを変えていく可能性がある。

 こうした中で、人工知能(AI)とそれを実践する具体的な手法としてのディープラーニングに注目が集まっているのだ。その代表例は、2012年にGoogleが開発した猫を認識する人工知能だろう。1000万枚の猫の画像を、人間に教えられることなく自ら学習し、猫の特徴を把握することに成功した。また昨年、Googleのアルファ碁がプロ棋士を破ったことも記憶に新しい。

 しかし、このディープラーニングには落とし穴もある。正確な答えを追求するためには、何階層ものニューラルネットワーク(神経回路網)を構築し、各階層の間で処理結果をやりとりしなければならない。前述の猫の場合には9つの階層が用意され、徐々に回答の精度を上げていったという。

 実際のビジネスで必要とされる複雑な処理を実現するには、さらに多段階のニューラルネットワークが必要になる。研究ベースでは、200層ものニューラルネットワークが構築されている。こうした多段階にわたる膨大な処理を通常のIT環境で実行するには、特殊な計算モデルを設計する必要があり、高度なノウハウが求められてきた。

 しかし、この難題を解決する新たなシステムが発表された。ディープラーニングに最適化されたIBMの超高速サーバー“Minsky”(*1)である。それは米国政府の目指す100ペタフロップスを超えるスーパーコンピューターの実現にもつながっているというのだ。

(*1)Power System S822LC for HPC

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