B2B分野におけるマーケティング支援およびコンサルティングを手がけるアイアンドディーは、リード情報の一元管理による状況分析から新規顧客開拓などのビジネス支援までカバーする広範なサービスを一貫して提供している。
そこでの主要サービスの一つに、名刺・アンケート入力・集計代行がある。大規模な展示会などで収集した1000枚以上の名刺・アンケート入力を預かってデータ化し、顧客の社内システムに準拠したフォーマットやExcelシートなどで納品するものだ。
「名刺データは個人情報のかたまりであり、絶対に外部に流出させることがあってはなりません」と、アイアンドディーの矢作英樹氏は語る。そのため同社では、プライバシーマークの認定取得や社内のデータ保護体制の強化、個々の社員に対するセキュリティポリシーの徹底などを図ってきたという。それでも払拭できずにいたのが、ヒューマンエラーに対する懸念だ。
例えば、顧客と個人情報などの重要データをメールの添付ファイルでやり取りしていた場合、宛先間違いなどの誤送信も情報漏洩のインシデントとなってしまう。たとえパスワードでロックをかけていたとしても、法的には同様の制裁を受ける場合がある。人間が介在する以上、こうしたうっかりミスを完全に排除できない。加えて、インターネットの途中経路で盗聴される恐れもないとは言えない。
実際、世の中で情報漏洩事故が多発する中で、プライバシーマーク制度の認定・更新基準もますます厳しくなっていく傾向にあり、「メールの添付ファイルを使ったデータのやり取りは、遠からず認められなくなる可能性があります」と矢作氏は見る。
では、他にどんな手段があるだろうか。模索を続けた末にアイアンドディーが出合ったのが、オラクルの「Oracle Documents Cloud Service」である。「厳重なセキュリティを担保するとともに、メールの添付ファイルや一般的なオンラインストレージにはない利便性を兼ね備えたクラウドベースのファイル共有・同期サービスで、即座に導入を決定しました」と矢作氏は語る。
アイアンドディーがこのクラウドサービスをどのように活用しているのか、次ページ以降でさらに詳しく見ていこう。