製造、建設、流通などの現場では、作業員とロボットの“協働”が進み、安全管理はこれまでにも増して重要な課題になった。「作業員の状態や身体負荷をリアルタイムに把握し、危険・事故を防止する」。「より安全で効率的な人員配置、作業工程を実現する」。こうした次世代の安全管理を支援するために、センサー、クラウドを核にしたIT技術が使われ始めている。

 IT技術の進化が、作業員の安全管理を根本から変える――。製造業や建設業のように現場で働く作業員を抱える企業にとって、安全管理は重要な課題だ。しかし、きめ細かい対応ができない企業も多く、ときに労災と認定されるような事故も起きてしまう現実がある。ここにきて、安全管理や労災に関する社会の目は厳しさを増しており、人命を守る意味でも、会社の信用を守る意味でも、従来以上の対策が求められている。こうした中、新たに注目を集めているのがIT技術を活用した安全管理手法だ。

現場が抱える安全管理の悩み
[画像のクリックで拡大表示]

 日本企業は長年にわたり効率化と省力化を推し進めてきた。その結果、少人数の作業員で現場を回すケースが珍しくない。製造業ではロボットを導入して、複数人で担当してきた生産ラインを一人で運用できるようにしていることが多い。

 このような現場では、万一作業員が事故や病気で転倒して気を失ったとしても、周囲に人がいないために気付くまでに時間がかかることも考えられる。また、金属加工作業ラインのように厳しい暑さの中で作業する場合には、作業員が熱中症や脱水症状を引き起こす可能性もある。

 従来の人の目による監視だけでは対応が困難になりつつある今、IoTやクラウドの技術を使って、作業員の行動や状態を把握し、安全管理を強化する取り組みが始まっている。作業員は、センサー付きのデバイスを装着する。そこから得られたデータを収集し、リアルタイムに分析して事故の防止に生かす、というものだ。

 これらのセンサーを使うと、遠隔地からでも人の動きを正確に捕捉できる。内蔵した加速度センサーやジャイロセンサーなどから得たデータを基に、歩数や体の傾きを検知したりできる。この仕組みを利用して作業員の行動を把握するわけだ。富士通が開発した「FUJITSU IoT Solution UBIQUITOUSWARE(ユビキタスウェア)安全管理支援ソリューション」もこのようなセンサーを活用している。

富士通の安全管理支援ソリューションの仕組み
[画像のクリックで拡大表示]

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。