使い勝手と利便性が大きく向上したWindows 10

 7月29日に無償アップグレードが始まってから早3カ月。快適なアップグレードのため、一斉配信ではなく順次配信という形となったが、個人ユースのPCではすでにアップグレードを終えている人も少なくないはずだ。

 実際にWindows 10へのアップグレードを行ってまず感じるのが、その「軽さ」だ。同一スペックのハードウエアでも、以前のバージョンと比べ驚くほどサクサクと動く。またスタートアップメニューが復活し、利便性がさらに向上したことも重要なメリットだ。仮想的なデスクトップを複数作成し、Ctrl+Win+左右カーソルキーで素早く切り替えられる機能も標準で搭載され、作業効率向上に大きな貢献を果たしている。アプリケーションの互換性も極めて高い。ネット上のレビューやコメントも、高評価なものが多いという印象だ。

 しかしWindows 10で注目すべきなのは、ユーザー体験の向上だけではない。このOSはマイクロソフトにおけるOS開発の歴史から見ても、エポックメイキングなものなのである。

 以前のマイクロソフトは、PCやタブレットでの利用を前提としたWindows、スマートフォンに特化したWindows Phone、ゲーム用途に特化したXbox 360の開発・提供を、それぞれ個別に行ってきた。その後Windows 8の登場に合わせ、これらのカーネルを統合。さらにWindows 8.1から、WindowsとWindows Phoneのアプリモデル(ソフトウエア開発の方法)を統合した。そしてWindows 10では、オペレーティングシステムの中核となる「Windows Core」とアプリケーション実行環境となる「Universal Windows Platform」が、全てのハードウエアプラットフォームに対応。つまり、マイクロソフトの全てのOSが、Windows 10によって統合を果たしたわけだ。

図1●Windows 10までの道のり
図1●Windows 10までの道のり
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Windows 10に至るまでのマイクロソフトOSの変遷。多種多様だったOSが、Windows 10の登場で1つに統合されていることが理解できる

 企業ユースでも魅力的な機能が数多く装備されている点も、注目すべきポイントだといえる。

 その1つが音声アシスタント「Cortana」。学習機能を装備した音声ナビ機能を活用することで、両手がふさがっている時でも必要な情報にアクセス可能になる。例えば、オフィスで、PC上のパワーポイントやワードなどのドキュメントを検索したり、「昨日作りかけの資料」といった抽象的な検索も可能だという。現在、日本語版のCortanaはまだ誕生したばかりだが、よりビジネスに適した音声ガイダンスへと発展していくだろう。

 またタブレットとPCでUIの自動切り替えを行う「Continuum」の搭載も、ユーザーの利便性向上に大きな貢献を果たすはずだ。キーボードの着脱可能な2in1デバイスを活用している場合、キーボードを外すと自動的にタブレットの画面表示に切り替わるのである。また、外部ディスプレイの接続や解像度なども自動判別し、最適な表示を行う。これによって2in1タイプのPCの利便性が格段に向上するだろう。

 これらに加え、さらなるセキュリティの強化と業務効率の向上、運用管理工数の削減が可能になる点も、注目すべきポイントだ。それでは具体的にどのような機能が装備されているのか。次ページ以降ではそれらの機能と、Windows 10の性能を最大限に引き出すためのデバイス選びについて紹介したい。

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