普及するモバイルワーク環境・残る課題

 「モバイルPCだけじゃなく、自分のスマートデバイスも使いたい」「いつどこでも、同じように仕事できる環境を整備してほしい」――。そんな声の高まりを感じる企業は多いだろう。社員の生産性を高める業務環境をどうデザインしていくべきか。クラウド化の潮流にともない、このことが企業経営者およびIT部門の重要ミッションになっている。

 そうした中、採用が進むのがデスクトップやアプリケーションを仮想化するアプローチだ。デスクトップやアプリケーションはデータセンター側で実行し、ユーザーのデバイスには画面イメージのみを配信してリモートで利用する。これにより、場所や時間に関係なく、シンクライアントやタブレットなどの多様なデバイスで業務が行える仕組みを実現。オフィスのデスクトップPCに縛り付けられることのない、柔軟な働き方を可能にするものである。また、画面だけを転送するためデータがデバイスに残らず、情報漏えい対策にも効果がある。

 しかし、そのメリットを最大化できている企業はまだ多くない。

 例えば、多くの企業が直面するのが「モバイル環境などではネットワークが不安定な場合があり、パフォーマンスが悪く作業効率を落としてしまう」という問題だ。これでは、せっかくの仮想化環境も宝の持ち腐れ。結果、ユーザーが離れてしまうケースも散見される。

 また、より分かりやすいものとしては「操作性」の問題もある。ご存じのとおり、マウスで操作するPCと、タッチパネル式のスマートデバイスでは、同じことをする場合も操作が大きく異なる。そのため、スマートデバイスへのアプリケーション配信は実現できても、そこで起動されるのはWindowsのデスクトップやアプリケーションなので、操作感の違いがネックとなり、完全にPCと同じ作業は行えていないことが多いのだ。これでは、生産性向上効果も限定的なものにとどまってしまうだろう。

 モバイル活用のニーズはもう止められない。こうした課題を解決し、あらゆる業務をシームレスに繋ぐ仮想化環境を実現するには、どんな点に着目すべきなのか。

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