グローバルトレンドになりつつあるIT運用の改善策
長年、IT部門を悩ませている問題の1つにIT運用コストの削減とITサービス品質向上の両立がある。近年、グローバルでビジネス展開をする企業の間で、このIT運用にまつわる課題を新たなアプローチで解決しようという動きが広がっている。
では、改めてIT運用にまつわる課題から振り返ってみよう。
まず、ほとんどの企業が慢性的に直面しているのが運用コストをいかに削減するかという問題だ。アウトソーシングサービスの利用、仮想化・クラウド・運用自動化などの技術の採用など、様々な手段でコスト削減を目指すものの、必ずしも高い成果を上げているとはいいがたい。
一方、ビジネス部門からは、稼働率や問題解決スピードなどのサービス品質の向上や新規サービスの迅速な導入を要求され続けているが、運用コスト削減が根底にある以上、システム、プロセス、運用管理体制のどれをとっても劇的に改善するのは容易ではない。
さらに問題を複雑にしているのが、近年のビジネスのグローバル化やM&Aである。
例えばグローバル企業においては、欧州、北米、アジアパシフィック地域など、各リージョンの現地法人や中核拠点を中心に、それぞれがシステムを整備し、運用しているケースが多い。その結果、採用している技術や運用プロセスがバラバラになってしまっている。
また、もともとは独立した異なる企業が統合されるM&Aでもおおよそ同じようなことが発生する。企業統合と同時に異なるシステムと運用管理体制、プロセスが社内に併存することになる。こうした状況は、さらなる運用管理コストの肥大化、サービスレベルの低下を招きやすい上、問題解決をよりいっそう困難にする。
では、冒頭で述べたようにこれらの問題に解決策を見いだした先進企業は、どのようにIT運用を改善しているのか。次ページからは、実際の事例をもとにそれを見ていこう。