GPS、センサー、走行データ…あらゆる情報が新サービスのもとになる

 IoT、M2Mなどの普及を受け、自動車業界にサービス改革の波が巻き起こっている。

 例えば、カーナビについても、従来の道路案内機能のみならず、GPS機能で収集したドライブ履歴をもとに、走行ルート上にある店舗がクーポンを配信するといったことも可能になる。普及が進むEV(電気自動車)に対してであれば、最寄りの充電ステーションを、混雑状況と合わせて表示することもできる。

 多くのクルマから収集される車間距離センサーやスピードセンサーなどの情報を分析すれば、道路の渋滞状況をリアルタイムに把握することも可能だ。走行予定だった道路が渋滞していれば、GPSの位置情報をもとに、目的地までの最適な迂回ルートを知ることもできる。物流事業者であれば、配送業務の効率化、燃費削減も見込めるだろう。

 加えて、クルマの安全性を高めることも可能になる。車載部品のセンサー情報を収集・分析することで、リモートでの車両診断が可能になるからだ。走行実績のデータから部品や機器の消耗度を把握し、予防的なメンテナンスを行うこともできる。不具合が発生する前に部品を交換することで、より多くの事故やトラブルを未然に防げるはずだ。

 また、異業種とのコラボレーションも加速するだろう。なかでも期待を集めているのが、保険商品への応用だ。現在の自動車保険は年齢や走行距離、事故歴などをもとに契約するかたちが一般的だ。しかし、家族構成、居住地域の道路状況などによってクルマの乗り方は変わる。例えば、急ブレーキや急発進が少ない、あまり遠出をしないというドライバーであれば、事故の発生リスクも低いと想定できる。

 クルマの情報をリアルタイムに収集できれば、そういったドライバーの運転特性を把握し、保険料率を引き下げるといった提案も可能になる。保険会社はリスクを的確に把握することで、競争力の高い保険商品を提供でき、ユーザーは自分に最適な保険商品を契約できるようになるのだ。

 このように、様々なデータやサービスと連携することで、新たな機能や利便性を持つようになったクルマは「コネクティッド・カー」と呼ばれ、今、各方面から熱い注目を集めているのだ。

図1●自動車業界に変化を起こすデジタル要素
図1●自動車業界に変化を起こすデジタル要素
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クルマから得られる様々な情報のほか、街中や道路に設置されたセンサーからのデータ、SNS上の個人の嗜好に関する情報など、デジタル化されたあらゆるデータを活用することで、新たなサービスの創出が可能になる

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