テープに代わる新たなバックアップ手法
いかに災害やシステム障害からデータを守るか――。情報(データ)の重要性が増す現在、バックアップは不可欠だ。これまで多くの企業が、バックアップ先のメディアに「テープ」を採用し、ファイルレベルでバックアップを取得してきた。豊富な実績やメディアコストの安さなどが評価され、その優位性は長年続いてきたのである。
しかし最近では、データバックアップの最適解も変化しつつある。ファイル単位・ディレクトリ単位でテープにバックアップするのではなく、システムイメージ全体をハードディスク(HDD)にバックアップできる製品が注目されているからだ(図1)。
HDDへのイメージバックアップには、テープへのファイルレベルバックアップにはないいくつかの利点がある。第1に、リストアの時間を大幅に短縮できる。ファイルレベルバックアップの場合はデータ部分のみバックアップを取るのが一般的であり、復旧時にはハードウエアを修理・再設定したのち、「OSの再インストール」「アプリケーションの再インストール」、その後「バックアップデータのリストア」といった作業を段階的に行わなければならない。その点、イメージバックアップならシステムイメージ全体をバックアップデータからリストアするだけでよく、短時間で業務を再開できる。
第2にメディア管理の煩雑さがない。テープへのファイルレベルバックアップではバックアップ対象が増えれば必要なテープの本数も増えてしまい、これがスムーズな復旧の阻害要因になるリスクがある。HDDならバックアップデータを個別に管理する必要がないだけでなく、リストアに必要なデータを見つけることも容易になるのだ。
こうした利点は中堅・中小をはじめ、システム運用の専任担当者がいない企業にとっては、特に大きなものになるはずだ。それでは中堅・中小企業は、どのような観点で、バックアップソリューションを選ぶべきなのだろうか。