撤廃したはずの「メインフレーム」がまだある
様々な業務やサービスがIT化されている現在のビジネス。仮想化技術やクラウドの登場は、企業のIT活用をさらに後押しし、新たなトレンドを生み出し続けている。
このようなITの進化の大きなきっかけとなったのが「オープン化」だ。
メインフレームからUNIX、そしてWindowsやLinuxの世界へ──。x86アーキテクチャの登場によってハードウエアの標準化が進み、ハードウエアとOSが分離され、メインフレームの世界ではハードウエアに縛られていたソフトウエア開発の自由度が一気に拡大した。ITは、より低コストで利用できるようになった上、多様なサードパーティベンダーが自由にアプリケーションを開発・提供できるようになり、IT業界は広大なオープンエコシステムを確立。ユーザー企業の選択の自由度を高め、ITの適用範囲を急速に拡大させた(図1)。
堅牢性などを評価して、あえてメインフレームを利用しているケースもあるが、目的に応じて市場から最適な製品やサービスを選定し、導入するというプロセスを見ても、現在の企業ITは、もはやオープンであることがほぼ前提となっている。
しかし、IT環境を見渡すと、いまだに閉じた世界に縛られ、レガシーな文化を引きずっている領域もある。
それが、ネットワークだ。ハードウエアとOS、その上で動くネットワーク機能が一体化した機器として提供されているネットワーク機器は、まさにメインフレームのようなもの。ユーザーがOSを選択したり、アプリケーションを開発したりするような自由度はない上、特定の技術を習得したエンジニアにしか運用することができず、手間やコストがかさむといった課題を抱えている。
IoT(Internet of Things)やビッグデータなど、「データをいかにさばくか」が重要になっている現在、企業にとっては、この課題を克服することは重要なテーマとなる。では、どのような方法があるのか。次ページからは、ネットワーク領域のオープンエコシステムへのシフトを提唱している複数の企業のキーマンに話を聞く。