TCOを押し上げるSANストレージの呪縛
ビジネスがITへの依存度を高める中、企業が保有・利用するシステムの数は増大を続けている。その結果、TCOの高額化が進み、頭を悩ませているIT担当者は少なくないだろう。
これを加速させているのが、企業の重要な情報を守るストレージのコストだ。データベースなどの高可用性を実現するには、サーバーをクラスター構成にし、SANストレージに接続するのが一般的だ。しかし高いパフォーマンスを発揮するハイエンドのSANストレージは非常に高額であり、数千万円から数億円という導入コストがかかることも珍しくない。
またSANストレージへの接続にはHBA(Host Bus Adapter)やSANスイッチが必要になり、これもシステムコストを引き上げる要因となる。そして、これらの設定には高度な知識が必要になるため、運用に必要な人的コストも高くなってしまうのだ。
こうしたストレージのコストを抑えるために、「高価なSANストレージを使わない」という選択肢もあるだろう。一例として、各ノードが独自にディスクを持って処理を実行する「シェアードナッシング型」であれば、コストを抑えながら高パフォーマンスなデータベースサーバーを構築することもできる。
しかし、シェアードナッシング型では、あるノードで障害が発生した場合、ほかのノードで処理を引き継ぐ仕組みを考えないと、可用性を担保できなくなる問題がある。これを回避するには高可用性を実現するクラスター構成をとる必要があり、そのためには共有ストレージが欠かせないものとなる。つまりここでも、高パフォーマンスのSANストレージを抜きにしたシステム構成を考えることは難しいのだ。
これはシステム構成上、仕方がないことであり、IT担当者はストレージコストの増大と向き合い続けなければならない――。そんな“これまでの常識”に、変化が起こりつつあるという。