大きなリスクが潜む新サーバーへの移行

 法人のネットバンキングを狙った不正送金事件の被害が急増している。2013年の被害額は年間で約1億円だったのに対し、2014年に入ってからは、上期だけですでに5億7000万円に到達。このペースで被害が増え続ければ、2014年1年間の被害額は12億円を突破する可能性があり、2013年度分の実に12倍となる計算だ。

図1●急増する法人のネットバンキングを狙った犯罪被害
図1●急増する法人のネットバンキングを狙った犯罪被害
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2014年に入ってから、法人のネットバンキングを狙った犯罪被害は急増。被害総額は1年間で、12倍になる見込みだ。

 この背景として、サイバー犯罪者のターゲットが、個人の預金から法人の預金へと移っていることが挙げられる。法人口座は送金上限額が高いため、個人をターゲットとしたときよりも、1回で大きな金額を不正に入手することができるからだ。実際、1件当たりの被害額が1000万円、2000万円ということも珍しくない。

 サイバー犯罪に巻き込まれた場合、被害が補償されるのは個人向けのみという点にも注意が必要だ。法人向けの場合、その多くが被害の補償を受けることができず、その損失を抱え込まなければならなくなる。

 「自分の会社は大企業ではないから狙われないだろう」、「地方の中小企業だから大丈夫」と考えるのは早計だ。法人をターゲットにしたサイバー犯罪の割合は、都市銀行よりも信用金庫や信用組合、地方銀行の方が高くなっているという調査結果があるからだ。サイバー犯罪には企業規模や地理は関係ないということを意識しなければならない。

 また、中には「うちはアンチウイルスソフトを導入しているから大丈夫」という企業もあるだろう。しかし、いまや、これも誤った認識となっていることに気付く必要がある。ネットバンキングを狙った犯罪は、アンチウイルスソフトで防ぎきることはできないからだ。つまり“アンチウイルスソフトは役に立たない”時代になったのだ。

 では、なぜそうなったのか。その理由を次ページから検証していく。

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