なぜ企業はクラウドの“調理”に失敗してしまうのか

 クラウドを優先的に検討する「クラウドファースト」という考え方が、エンタープライズ領域においても定着しつつある。しかし、必ずしもすべてが成功につながっているわけではない。例えば、「システムが安定しない」「既存システムを移行したらコストがあがった」「思ったようなパフォーマンスがでない」「既存システムとの連携がうまくいかない」といったケースがそれだ。

 なぜ、こうした事態が発生するのか。それはクラウド化するシステムの利用分野や用途、規模、さらには優先すべき要件などによって、最適なシステム構成が大きく変わってくるからだ。つまり料理に例えれば、クラウドは“食材”にすぎないわけで、「誰が」「何のために」「どう調理するか」で、最終的な料理のデキが決まってくる。

 例えば、「クラウド上で基幹業務システムを構築する場合」と「一般消費者向けのECサイトを構築するケース」では、サーバーやネットワークの構成はもちろん、データベースやロードバランサーの最適な配置のあり方も異なる。また、クラウド同士の連携や、既存システムとクラウドシステムの連携といった要件を満たすためには、これまでとは異なる発想や技術が必要になる。

 さらに重要なポイントとなるのが、利用するクラウド基盤サービスの特質によっても、“最適なシステム構成”が違ってくるという点だ。具体的には、利用するクラウド事業者が、自社の基盤上でどのような機能や接続性を提供しているかといったことを見極めておく必要がある。

 ただし、そのようなノウハウをユーザー企業が独自に獲得することは容易ではない。そこで注目されているのが、クラウドという食材をそれぞれの目的に応じてどう調理するかが書かれた“レシピ”である。

 この“レシピ”を、エンタープライズ領域向けにいち早く提供しているプロバイダーの1つがIIJである。IIJでは、これまであらゆる業種業態の多種多様な要件に対してクラウドサービスを提供しており、その構築実績は優に2000を超えるという。そうした経験や独自に行ってきた数々の技術検証に基づき、クラウドにかかわる設計ノウハウをパターン化。「ベストプラクティス」として公開している。企業はそれを自らのニーズに応じて活用することで、目指すべきシステムをよりスピーディに、そして低リスクで構築することが可能となるわけだ。

 それでは、そのレシピにはどんな種類があり、どんなメリット効果があるのか。その具体的な内容について見ていこう。

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