数々の事例が証明するコンタクトセンターの可能性

 顧客のニーズをいかに迅速かつ正確に把握し、ビジネスに生かすか──。収益や顧客満足度の向上、優れた新商品やサービスを開発する上で重要な経営課題の一つである。

 昨今のデジタルマーケティングなどに対する活発な取り組みを見ても、多くの企業がそのために積極的に投資を行っていることがわかる。

 こうした取り組みの中心にいるのは営業、マーケティングや広報、開発などの部門だが、もう一つ重要なセクションを見逃していないだろうか。日々、顧客に様々な情報を提供したり、多様な要望に対応したりしているコンタクトセンターである。

 多くの人がコンタクトセンターはクレームや問い合わせに対応するためのセクションと思っているかもしれない。しかし、多くの顧客の生の声が集まる上、絶えず顧客と接点を持ち続けているコンタクトセンターは、活用法によっては大きな可能性を秘めている。

 例えば、某サービスプロバイダーは、契約関連情報を分析して、解約が発生しやすい時期と理由を抽出することで、傾向を事前に把握し、予兆をいち早く察知することが可能になった。それを生かし、解約の申し込みがある前に、コンタクトセンターを通じてサービスの有効活用方法をアドバイスするなどして、契約継続を促している。

 また、小売業の中には、ソーシャルメディア上のクチコミ情報とコンタクトセンターに寄せられるクレーム・意見・要望から顧客のリアルなニーズを洗い出し、製品の開発や改善、経営層の意思決定に役立てている企業もある。

 ほかにも、ある産業機械メーカーは、センサーを通じて機械の稼働情報を収集。その情報をもとに故障の予兆が発生した段階で、コンタクトセンターから部品交換など保守に関する提案を実施している。受け身ではなく、能動的なコンタクトセンターの働きによって、期待を超えたサービスを提供し、顧客の満足度を高めている。

 さらに、通信業界には、コンタクトセンターへの顧客からの電話を音声分析して、通信がつながりづらくなっている地域などを早期に把握。同じ地域の顧客に即座に不具合をアナウンスするという事例もある。

 では、このように経営への貢献度の高いコンタクトセンターを実現するためには何がポイントになるのか。次ページからは、それを紹介していこう。

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