企業の注目を集めるChromebook
PC全盛の時代から、“ポストPC時代”へ――。IT活用のスタイルは、ここ数年で大きく様変わりしている。ワークスタイル変革を実現するため、多様なデバイスを目的に応じて使い分ける企業は多いだろう。
その主役として普及してきたのがスマートフォンやタブレット端末だが、加えて最近、注目を集めるのが「Chromebook」だ(図1)。これはGoogle社が開発する「Google Chrome OS」「Google Chromeブラウザ」を標準搭載したノートPC型デバイス。海外ではすでに多くのメーカーから製品がリリースされており、2013年後半からは出荷数も急増。国内では2014年夏に法人向けの製品が販売開始となっている。
このChromebookの最大の特徴は、本体には必要最小限のアプリケーションしか持たない点にある。各種の作業は、すべてブラウザ経由でWebアプリケーションにアクセスしたり、Webサイトを開いて実行する。そのため、本体のシステム構成がシンプルで、セットアップが簡単な点、また導入コストも、通常のノートPCの1/4程度に抑えられるといったメリットが、市場に高く評価されているのである。
また、Chromebookには、もう1つ重要な強みがある。それが「セキュリティの高さ」だ。ウイルス対策機能が標準搭載されるほか、起動時にセルフチェックを行い、異常を検知した場合はChrome OSが初期状態にリセットされる「確認付きブート」機能も実装。また仕組み上、データは基本的にChromebook内に保管しないが、一部、本体に保存した作業中データなども標準状態で暗号化されるため、悪意を持った第三者が情報を持ち出しても簡単にはアクセスできない。さらに、ログアウト時には本体内のデータを自動消去する設定も可能だ。こうしたChromebookのセキュリティ性能は、モバイルデバイス特有の盗難・紛失といったリスクも大きく低減するだろう。
しかし、このように多彩な魅力を備えたChromebookも、実は“そのままで”PCの代わりに使うことは容易ではない。他のスマートデバイス同様、OSが異なるために、多くの業務で使われる「Windowsアプリケーション」をインストールすることができないからだ。もちろん、既存のWindowsアプリケーションをWebアプリケーション化、もしくはChrome OSのネイティブアプリに作り直して使うというアプローチも考えられるだろう。ただし、コストや工数の面から、これも簡単ではない。
では、この「Windowsアプリの活用」という障壁を乗り越え、Chromebookの多彩なメリットを業務で生かすには、企業はどんな手を打てばよいのだろうか。