新たなボトルネックをどう解消するか
ビジネス/プライベートにかかわらず、私たちが日々あらゆるシーンで活用している「Webアプリケーション」。企業が一般ユーザー向けに開設するECサイトやネットバンキングサイト、SNSなどのほか、ワークスタイル変革を目的に、社員向け業務アプリケーションをブラウザベースで使えるようにしたものもWebアプリケーションの一例だ。現在は、スマートデバイスの普及にも呼応し、ますます多様なシーンでの活用が進んでいる。
こうした状況の下、多くの企業が各種Webアプリケーションを安定的に配信するためのシステム最適化に取り組んでいる。例えば、大勢のユーザーが快適にアプリケーションを利用できるようにするためには、アクセス経路のネットワーク帯域を十分に増強する必要がある。また、アプリケーションを実行するサーバーも、必要な処理性能を担保しなければならないほか、仮想化などによって負荷の増減を柔軟に吸収できる仕組みも整える必要があるだろう。
最適化を検討すべきポイントはもう1つある。それが、データセンターのフロントエンドに配置される「アプリケーションデリバリコントローラ(ADC)」だ。ユーザーアクセスのロードバランシング、SSLオフロード処理などを実行することで、特定サーバーへの負荷集中を回避し、安定したアプリケーション配信を実現する。しかし、最近はこのADCが、アプリケーション配信のボトルネックになるケースが増えている。つまり、ネットワークやサーバーの増強は進めても、ADCの性能が追い付かずに、思ったような効果が得られないというものである。
そのことに気付いた企業は、最適なADCの導入検討を進めているが、なかなかうまくいかないのも実情だ。なぜなら、多くの場合、製品検討ではまずスペックシートをチェックするが、ADCは負荷分散やSSLオフロードのほかにも、非常に多彩な機能を備えている。そのため、どのスペックに重きを置くかが事前に精査できていなければ、正しい選択はできないからである。
それでは、Webアプリケーションの快適な利用環境をユーザーに提供するため、企業はADCのスペックシートをどう読み解き、どんな点に注目して製品を選ぶべきなのか。