デジタル化が進展し、リアルな世界のオンライン化が進んでいる。その結果、企業はたくさんの情報をもとに、よりインテリジェントな対応や、適時適切な意思決定が可能になる。
さらに、こうしたデジタル化と並行して進むのが、クラウド、ビッグデータ、モバイル、ソーシャル、IoT(Internet of Things)といったテクノロジーの活用だ。これにより企業はビジネスを革新して、新たなイノベーションを創造し、あらゆる社会・経済・産業の構造を変革する役割を担うことができるようになる。
そうした中、企業のITリーダーに強く求められるようになっているのが、「全体最適」の視点である。というのも、デジタル化が進展し、オンライン化が進むことにより、製品・サービスの多層構造が進むからだ。この多層化を前提に、ネットワークにつながる以前の「部分最適」な考え方ではなく、接続後の「全体最適」を志向した上でシステム全体の基本設計を描くことが重要になる。どういった業務に・どういう製品を入れるのか。そして、それが業務全体にどのようなインパクトを与えるのかといった観点がこれまで以上に問われるようになっているのだ。
加えて、さらに重要なのが、既存システムや基幹システムとの連携である。デジタルとリアルな世界の融合が進むといっても、企業が長年構築してきたシステムを一新するわけではない。既存のシステムが持つデータや機能を生かしながら、最新テクノロジーによる機能/サービスの拡張を図る必要があるのだ。当然、IT担当者に課せられる負荷は高くなる。
こうした事態に、どのような対策が最も有効なのか。ここでは、日本マイクロソフト 樋口泰行氏と、アクセンチュア 程近智氏、そして数多くの企業にITソリューションを提供するアバナード 安間裕氏の3人のリーダーに、これからのIT担当者に求められる役割の変化とその課題・解決策について話してもらった。
(司会=日経BP イノベーションICT研究所長 桔梗原 富夫)