近年、設計事務所の事業資産といえば、大半がデジタルデータである。

 官公庁庁舎などの行政施設や教育施設、住宅施設、福祉施設の建築設計で高い評価を得ている杉原設計事務所も例外ではなかった。同社では、図面、設計資料、写真をはじめ、過去に手がけた物件データ、企画書、見積書などの営業データ、総務、社内管理データなどをファイルサーバーに保管し、それをNAS2台に二重化してバックアップを行っていた。

株式会社杉原設計事務所の外観。建築設計、都市計画の分野で豊富な実績を築いている

 バックアップのスケジュールは、週次でフルバックアップを取り、日次で差分バックアップを取るという方式。しかし、ここに課題がいくつか生じていたという。

●杉原設計事務所が抱えていたシステムの課題

(1)終わらない日次バックアップ
(2)遠隔地バックアップの必要性
(3)ファイルサーバーOSのサポート終了

 第一の課題は、日次バックアップの取得に7時間以上かかっていたこと。夜12時から翌朝7時までかけても差分バックアップが終わらない状況だった。それが原因で様々なエラーが発生しており、運用管理を担う設計部課長の有田由美氏は、エラーメールを受け取るたびに対応を迫られ、通常業務に支障が出ていたという。

 第二の課題は、遠隔地バックアップに乗り出す必要性から。以前のオフィスで給排水設備のトラブルがあり、社内で"水害"に遭遇した経験があった。このとき同社のシステムには被害はなかったものの、その後は防水シートをかけてシステムを物理的に保護していた。しかし、また何が起こるか分からないという運用管理者の思いは強かった。

 第三の課題は、大阪事務所で利用していた「Windows Server 2003 R2」がサポート終了を迎えようとしていたこと。そこで、このファイルサーバー更改を機に、バックアップ時間の低減と遠隔地へのバックアップ二重化を実現すべきだと結論づけたのである。

 同社が取り組んだバックアップ体制の全面的な見直しについて紹介する。

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