ビッグデータ時代の到来とともに、企業が取り扱うデータ量は飛躍的に増え、「ストレージ環境をどう整備していくか」が企業システムの課題になりつつある。今後も、データ量や処理スピードなど求められるレベルは飛躍的に高まり、従来のストレージ環境だけでは対応できなくなることは明らかだ。そこで注目されているのが、フラッシュ・ストレージである。アクセスが高速で小型・軽量、省電力といった特長があり、企業システムへの導入が進んでいる。このように急拡大しているフラッシュ・ストレージ市場だが、国内では日本アイ・ビー・エムが圧倒的なシェアを獲得している。その理由はどこにあるのだろうか。
顧客が選ぶストレージで「市場シェア6割超」
調査会社のテクノ・システム・リサーチが発表した国内の「オープンプラットフォーム向けオールフラッシュ・ストレージ市場」(2013年度)の調査結果で、出荷台数における日本IBMのシェアは61.8%に上る。出荷金額シェアは50.4%、出荷容量シェアは64.8%となっている。
IBMがオールフラッシュ・ストレージ事業に乗り出したのは昨年4月。国内のオールフラッシュ・ストレージ市場が立ち上がったのとほぼ同時期である。同社が牽引する形で市場が広がり、同社の製品が一気に市場を席巻している格好だ。同社でフラッシュ・ストレージビジネスを担当するストレージセールス事業部の波多野敦氏は「台数ベースで見ると、四半期ごとに倍々で市場が拡大しています」と話す。
注目すべきは、出荷台数のシェアに比べて出荷金額のシェアが低く出荷容量のシェアが高いことだ。これは、IBMのオールフラッシュ・ストレージの容量単価が他社よりもかなり安く、また1台あたり多くの容量を搭載していることを示している。波多野氏は「当社の製品は2TB(テラバイト)から 40TB(2次元RAID構成時)まで同じ筐体で提供され、幅広いニーズに対応できます。企業の基幹システムにも当たり前に利用できる信頼性や可用性を確保していることが、出荷台数の多さにつながっています」と分析する。フラッシュ・ストレージはその性能面から注目を集めてきたが、「価格が高い」「耐久性が低い」といった課題が指摘され、ストレージ環境の構築にあたってのノウハウも蓄積されていないために、システム・インテグレーターから提案されるケースは少ない。こうした中でストレージの選択に変化が起きつつある。ユーザー企業自らがIBMのオールフラッシュ・ストレージを指名するケースが増えているのだ。
「当社のFlashSystemを選択するお客様の半数以上は、これまで当社のストレージを利用していなかった企業です。お客様自身が当社のストレージを新規に選択するケースが増えています」(波多野氏)。
これからは、ストレージの性能が企業のビジネス戦略を左右する。先進的な企業ほどストレージの選定に注力しており、そこではIBMのフラッシュ・ストレージが選択されている。同社のフラッシュ・ストレージがもたらす価値とは何なのだろうか。