MS&ADシステムズは、MS&ADインシュアランス グループのシステム専門会社として、グループの中核企業の1つである三井住友海上火災保険のIT戦略を担う。三井住友海上のネットワーク基盤にシンガポールテレコム(Singtel)のグローバルIP-VPNサービスを採用し、日本をはじめ世界の約20拠点を接続した。また、シンガポールのMicrosoft Azureとの接続には、Singtelが提供するExpressRoute接続サービス(閉域網接続サービス)を利用し、セキュアな通信を実現している。

西村 学 氏
MS&ADシステムズ株式会社
システム運用部
端末・ネットワークグループ
マネージャー
西村 学 氏

 MS&ADシステムズは、セキュリティ、スピード、シェアをコンセプトに、世界39の国・地域(2014年10月1日現在)に拠点を展開する三井住友海上火災保険のグローバルネットワーク構築・運用をサポートしている。ネットワーク面におけるセキュリティの要件は、拠点間で金融業務にかかわる重要なデータをやり取りするため、インターネットと切り離され安全で信頼性が高いこと。スピードは、海外の日本人駐在員の快適なサーバーレスポンスのため、安定した回線速度が保てること。シェアは、海外の各拠点で働く現地職員の情報共有基盤を担うため、高品質なグローバルネットワークであることを重視している。

グローバルIP-VPNの冗長化で業務継続の通信環境を整備

 「セキュリティ、スピード、シェア」という3つのコンセプトを満たす高セキュリティ・高信頼性のネットワークインフラとして、10年ほど前にSingtelのグローバルIP-VPNサービスを採用。現在は同サービス経由で世界約20拠点が接続されている。グローバルネットワークの主な用途は、日本人駐在員がシンクライアントを用いて日本に置かれたメールサーバーへアクセスするほか、海外各拠点の業務データの送受信や、現地職員が日本のポータルサイトにアクセスしてグループの情報共有に利用するなど、重要なビジネスインフラとなっている。

 時差の関係で常にどこかの国・地域で業務を行っており、「グローバルな金融ビジネスの基盤となるネットワークは絶対に止められません」とMS&ADシステムズの西村学氏は強調する。同社ではネットワークの信頼性を高めるため、グローバルIP-VPNを冗長化。日本をはじめ、東南アジアのハブ拠点となるシンガポールやその他一部の拠点は、他の通信キャリアのIP-VPNと冗長化するキャリアダイバーシティで構成している。Singtelと通信経路の異なる通信キャリアとの併用により、万一の障害時や災害時にも片方のネットワークを用いて業務を継続できる通信環境を整備している。

 冗長化のほか、SingtelのグローバルIP-VPNのオプションサービスであるトラフィック制御を活用し、シンクライアント用の帯域幅を確保。「増速せずに回線コストを抑えながら、限られた帯域を有効に利用できます。駐在員からシンクライアントのレスポンスが改善したと喜ばれています」と、西村氏はSingtelの柔軟な対応を評価する。

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