市場動向や顧客ニーズが急激に変化する時代。ビジネスモデルや業務スタイルに応じたシステムを短期かつ低コストで構築していく方法として、クラウドは今や不可欠だ。「クラウドファースト」というキーワードも広く企業の間に浸透してきている。
こうしたユーザー企業の動向は、ERPをはじめ独自の業務用アプリケーションパッケージを提供するISV(独立系ソフトウエアベンダー)のビジネス戦略にも大きなインパクトを及ぼしている。提供する製品の環境を、従来のオンプレミスからクラウドへと拡大し、パッケージの機能をサービス化して提供することが求められているわけだ。そして、そうした「クラウドシフト」のための基盤として、ISVがクラウドプロバイダーの提供するIaaS/PaaSをインフラとして活用していくという流れが加速している。
周知の通りマイクロソフトでは、パブリッククラウドサービスとして「Microsoft Azure」を提供しているが、同社ではこのIaaS/PaaS基盤をベースとしたISVのクラウドシフトを促進すべく、様々な支援策を打ち出している。日本マイクロソフトの奥主洋氏は、次のように説明する。「マイクロソフトコーポレーションのCEOであるサティア・ナデラも繰り返し述べている通り、マイクロソフトではその歴史を通じて、常にパートナー様との協業をビジネスの根幹に据え、パートナー様との間に“Win-Win”の関係を構築してきました。クラウド時代を迎え、そうしたスタンスをさらに強化すべく、パートナー様との新たな協業関係、エコシステムの構築を目指しているところです」。
ソフトウエアという知的財産を保有するISV各社との協業は、同社にとってとりわけ重要な位置を占めている。日本マイクロソフトによるISVのクラウドシフト支援策はどのようなものか、具体的に見ていこう。