池田 匡克 氏
明治安田生命保険相互会社
情報システム部 個人保険システムグループ(当時)
主席スタッフ
池田 匡克 氏

 保険の引受査定基準をつくる保険引受部門から「新商品の発売や医療環境の変化に柔軟に対応できる医務査定を自動化するシステムを開発してほしい」という声が上がってきたのは2013年秋。保険契約が可能かどうかを自動的に査定する何らかの仕組みをすでに導入していた競合他社もあった。

 明治安田生命保険で長年、個人保険向けのシステム構築を手がけてきた池田匡克氏は「保険引受の自動査定システムは必要。しかし、導入するなら他社のシステムを凌ぐものにしたい」、また引受の仕組みをつくる契約部の大井浩嗣氏は池田氏から話を聞き、「システム化によって、頭一つ抜け出すことができるか。それが重要なポイント」と考えた。

 少子高齢化、外資系生命保険会社の参入といった新たな競争相手の台頭、先進医療といったこれまでの常識を覆すリスクのある保険商品の誕生など、生命保険業界の競争は激化し、かつ変化の波に揺さぶられている。

大井 浩嗣 氏
明治安田生命保険相互会社
契約部 契約開発グループ(当時)
主席スタッフ
大井 浩嗣 氏

 こうした中で、明治安田生命保険の根岸秋男社長が掲げたのが「アンダーライティング改革」である。保険契約加入時の引受条件などの判断基準を見直し、機械化・効率化を図るとともに、人的資源をより高難易度の判断業務に集約することで保険契約の引受けの幅を広げるものだ。

 「保険引受の自動査定システムができれば、判断業務の効率化にとどまらず、改革の推進エンジンにできるかもしれない」と考えた池田氏と大井氏は、関連部門の担当者を集めて自動査定システムに取り組むかどうかを会議にかけた。その結果、2013年の秋から約2年後の2016年1月の本稼働を目指すことに。これは、業務部門と情報システム部門双方が納得できる最速の目標設定だった。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。